機体の設計構想について3
ノイベルト
「次は『霊力確保用の複座機構』というものだな」
有原
「早速ですが、質問が」
ノイベルト
「何だ?」
有原
「複座となると、機体の制御などを分散すると思ったのですが……。この資料に目を通す限り、後部座席の人間が制御を行う様子は見受けられません。どういう事でしょうか?」
ノイベルト
「簡単だ。『ただ座っているだけでいい』と想定したからだ」
有原
「はあ……」
ノイベルト
「もっとも、『複座』と、個人的に研究していた『球体型コクピットブロック』のお陰で、リナリア本体の優雅さは失われたからな。全体的にごつくなってしまったし、特に胸部装甲は派手に突き出た」
注:リナリア・シュヴァルツリッターはリナリアの設計図を改良し、製造した機体である。
有原
「ですが、“姿勢による”
ノイベルト
「当たり前だ。機体(鋼鉄人形)がどんな姿勢であろうと、
有原
「ありがとうございます」
~一分後~
ノイベルト
「さて、複座型にした理由はもう一つある」
有原
「何でしょうか?」
ノイベルト
「『姫様をさらう漆黒の騎士』を全体で表現したかったのだからな!」
有原
「と、おっしゃいますと……?」
ノイベルト
「つまり、要人を強引に乗せて離脱する、という内容を想定しているのさ。事実……強引にではないが、要人を乗せた使い方をしてくれた」
有原
「なるほど。要人を護衛する目的としても、要人を救出する目的としても使える、と」
ノイベルト
「そういう事だ。だが、最後にこれだけ言っておこう」
有原
「それは……?」
ノイベルト
「前部座席だろうが後部座席だろうが、乗っていれば霊力を吸われるということだ。高次元蓄積体(注:霊力を蓄積する装置の事)? 当然搭載しているし、最高品質を突き詰めた代物(注:“リナリア改”に次ぐ性能。つまりアルマ帝国ナンバー2の性能)ではあるが、今となっては別に載せなくても良かったのではとさえ思えてきた」
有原
「と、おっしゃいますと……?」
ノイベルト
「いや、独り言だ。次の話題に移る」
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