機体の設計構想について2

ノイベルト

「まずは『霊力噴射による速度上昇』からだ。知っての通りだが、鋼鉄人形が出せる速度には限界がある。これを解決した一例が、背中に強力なランドバーニアを背負った『ブルーネクサス』だ。わかるな?」


有原

「はい」


ノイベルト

「しかし私は、それでは不十分だと考えた。確かに鋼鉄人形は、『拠点防衛』を原則とする機体ばかりだ。だが、だからこそ、速度上昇と同時に、飛行する必要があると考えた。そして生み出したのが、『霊力噴射式推進機構』だ」


有原

「存じております」


ノイベルト

「利点と欠点があるが、まず欠点から上げよう。霊力を推進剤として用いる以上、消耗が速くなる。並みの操縦士ドールマスターならば、その機能だけで30分しかもたないだろうな」


有原

「30分!? それはそれは……」


ノイベルト

「だからこそ、“リナリア・シュヴァルツリッター”の装備に“騎士の外套(リッター・マンテル)”を取り付けた。損失した霊力を、強引に回収するためにな」


有原

「一つ、よろしいでしょうか? 実はあのマント、飾りだと思っていました……」


ノイベルト

「そう見えたのなら何よりだ。そういうために作ったのだからな」


有原

「なるほど……」


ノイベルト

「話を戻そう。この『霊力噴射式推進機構』、そして騎士の外套(リッター・マンテル)でもって、鋼鉄人形の課題を解決しようと考えた。そしてそれは成功した。何故かって? データが来ているからさ」


有原

「機体とこの研究所の機器が、リンクしていたと?」


ノイベルト

「そういうことだ」


有原

「しかし、最高速度マッハ4.5(5,508km/時)とは、いささか速くありませんか?」


ノイベルト

「私が追い求めた限界だ。操縦士ドールマスターの肉体? 知らん。まあリミッターは設けてあるが、あの少年は……ゴホン、何でもない。とにかく、地上をノロノロ走るよりはましだと考えたのだ」


有原

「そういうことでしたか……」


ノイベルト

「次にいこう」

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