第2話

俺は、病院側に抗議する。


なぁ、頼むよ看護師さん、何であいつが同じ部屋にいるんだよ。いいから、さっさと別の部屋に移動させろよあいつ!先生、頼むよ先生!bla─bla─bla 。


となりの竜人りゅうひとは未だ昏睡状態にあるようだった。看護師のリジーって女の子(猿人さるひとだ)が事あるごとに喚く迷惑な患者である俺を脅して黙らそうとして、口を滑らし、俺はその事実を知る。こいついつも寝てんな、と思ってなるべく隣人の顔を避けていた俺にも、少しだけ罪悪感が胸に湧く。


入院して二日目の午後に、となりの竜人のところに面会人がくる。カーテン越しに、シューシューと口をすぼませ喉から息を搾り出す、みたいな音が聴こえてきて、あぁ、あいつら竜人ってこんな風にコミュニケーションとるのね、などと天井を見つめる。


しばらくすると隣の竜人の面倒をみている竜人の看護師が部屋にやってきて、彼の調子はどうですか、などと面会人に声を掛けて検診を始める。病院のスタッフはみんな共通語で話すようで、猿人の俺にもそこだけは意味がわかる。たぶん、プライベートな話だとかあまりに込み入っていてニュアンスが伝わらない、みたいな場合じゃなければそうするのだろう。そういうルールがなくて、隣でシューシューと理解できない音を立てられ続けられるのはきっと辛いに違いない。

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ドラゴンキラー @yukiwow

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