使用装備は『弓』ですが上位近接スキルしか使えません、先生助けてください

中村 鐘

第1話決断

「さぁ!!皆の者酔え、踊れ、喜べ。今日はレイの成人の儀式だ!!遠慮せずどんどん飲んでくれ!」

巨大な石像を背景に壇上でそう大声で叫び体格の良い初老の男は盃を築き上げた。

「レイおめでとう!」

「大きくなったな!」

他の男たちは矢継ぎ早にそう言って俺ことレイ・マクルトスのことを褒めていいた。

「そんなこんな言葉はいいから俺は早く・・・」

と言いかけた瞬間。

「一息ついたな。それではレイに成人の証として役職を与える」

俺の声を遮るように壇上の初老じーちゃんは声を張り上げた。

周りの男たちもそれるように喚き散らす。

よく見ると彼らの手元の酒はほとんどなくなっていた。

「本当なら役職は我らから指定するところだが、レイ!お前は超がつくぐらいに優秀だ!よって、レイ!お前が役職を選べ、わかったな!お前は儂の大事な大事な孫に手を出したんだ不服だが役職によってはやらんでもない!」

そう言いながらまだ入りかけの盃を傾けてこちらを差してきた。

それに合わせて男たちはこちらを見てきた。

中身がどんどん溢れていく。

(あ〜あ大分酔っちゃんてんじゃん)

そう思いながら

「・・・最後のは関係ない・・・」

その音と共に初老じーちゃんの手の中にあった盃が粉々になっていた。

そして顔を真っ赤にしてこう叫んだ。

「関係ある!アリアを幸せにしなければ土に返すぞ!」

「・・・はぁ、わかったよ。俺がなりたい役職は・・・」

そうため息をついて、

俺はもう一度息を大きく吸った。

今まで様々なことを努力してきた。それは昔、心の底からなりたいとそう願った時からずっと待ち焦がれた瞬間なのだから。

「俺は・・・弓使いになって世界を巡る冒険者になるんだ!」

そう叫ぶと周りは先ほどの騒ぎが嘘のように静寂に包まれた。

「おい・・・何を言っているんだ。」

そう呟いたのはあの初老じーちゃんだった。

その目には誠か偽りか計りかけているように見えた。

「だ・か・ら、俺は弓使いになりたいんだって。」

次は静かな口調で言った。全力の笑顔を貼り付けて。

先ほどとは比べ物にはならない静寂になった。

いや静寂ではない。

一人一人が彼の発言に沈黙してしっまたのだと気づくのは俺は五秒もかからなかった。

俺は次の瞬間みんなに猛烈に反対されるのかと思った。

が、しかしみんなからの意見こえは違った。

「やっぱりね!」

「お前が色々な努力してたのは知ってるからな」

「だからそんな姿を見たアリアちゃんはそんな姿に惚れたんだと思うぞ」

「弓は得意だしな!」

「頑張れよ!」

「お目はこんなところで死ぬ器じゃねーよ!」

みんな口々に応援してくれた。

だが、一人だけ反対した人がいた。

「おい・・・どうするんだ・・・?アリアはお前のことを本当に慕っていたんだぞ?お前の誕生日の時どんな服を着ていくか深夜まで考えていた。お前が風邪で寝込んだ時は一つ先の山の麓まで薬草を急いで取りに行ってその後疲れているにもかかわらず一晩眠らず看病していた、それほどお前さんを大事にしていたアリアになんて言うんだ!」

肩をワナワナ震わせ怒りを抑えながら初老じーちゃんだった。

「大丈夫だよ爺さんアリアは俺が説得する。」

「わかった。どうせお前らはこの後会う予定でもあるんだろ?もしあの子を説得できたらまたここに来い。話はそれからだ。おい!みんな今日はもう終わりだこれでレイ・マクルトスの成人の儀を終了とする。」

そこからはとても迅速だった。

みんな各自で仕事を分担し空になった樽と周りの装飾品を回収して帰った。

そして俺と初老じーちゃんがその場に残るになった。

二人の間に静かな心地よい夜風が流れた。

互いに何も話さなかった。

俺は独り身を翻し出口へ足を向けた。

「じーちゃんもう行くよ・・・」

そう残し去ろうとした時後ろから声がかけられた。

先ほどとは打って変わった優しい声で

「もし・・・アリアがどうしてもついて行きたいと行ったら儂は構わないそれだけは・・・それだけは心に留めといてくれ。」

「わかった・・・」

そう言って俺はその場を去った。










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使用装備は『弓』ですが上位近接スキルしか使えません、先生助けてください 中村 鐘 @nakamurasyou

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