第6話
マリは毎日、老婆に教えられた通り、蓮の花についた朝露を集めて沸かし、お茶を飲みました。
ある夜、仕立て屋が潰れたのを知りました。
その次の日、お母さんがマリを尋ねて来ました。
お母さんは大変年老いていました。
マリは蓮の花の朝露のお茶をお母さんに出しました。
「マリ、マリ。私の考えが間違っていたわ。どうしても店を大きくしたくて、街で知り合った女を信用してしまった。あなたたちを大事にしながら、毎日楽しく暮らしていけば良かった。」とお母さんは涙を流しました。
ふと、目の前に老婆が現れました。
「今頃気づいたのかい?あんたの子供達はみんなとっくにそんなことは分かってたさ。そのお茶はね、蓮の浄化の力が入ったお茶なのさ。マリは毎日そのお茶を飲んだ。そして、今あんたを許した。マリは言葉を取り戻すよ。」
マリは「お母さん。」と一言喋りました。
「でもね、あんたは欲を掻きすぎて、悪魔に心を許してしまった。そして、自分の命を削ったんだ。取り返しはつかない。魂に戻る時が来たよ。」
老婆がそう言うと辺りが光に包まれ、お母さんが消えてしまいました。
母を呼び、泣き続けるマリに老婆は言いました。
「お母さんはあんたの心に帰ったんだよ。いつでもそこにいるさ。」
蓮の花 @amezisto
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