第5話/土着信仰
5.
屋敷を
「きっと、この村にいる――いた人間の仕業ね。正確には、殺し合ったという感じかしらね」
「…………」
「それにかなり時間が経過している。ひょっとしたら、この村は完全に全滅しているのかもしれないわね」
「それは、その『くだん』のせいなんですか?」
「いいえ、違うわね。『くだん』はあくまでも、話をするだけで、人を殺すようなことはしない。でも、原因は間違いなく『くだん』にある。『くだん』を前にした人間はこうなってしまうのよ」
「どういうことですか?」
「この村の人たちは、『くだん』を神様として信仰していた。そして『くだん』は人語を話して予言する妖怪。加えて、この屋敷の人間が『くだん』を手中に納めていたとするなら、なんとなく見えてくるんじゃないの?」
「……『くだん』を巡って、村人同士でぶつかったということですか?」
「それじゃ六十点ね。じゃあね、『くだん』は既に絶命しているとしたらどうかしら?」
「え、それじゃあ――」
「そう、村人は――存在しない存在を信仰していた。そして、この屋敷の人間は『くだん』の死亡を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます