数学史リレー小説
安崎旅人
第1話 ぼくの道
算数の授業はいつも通り退屈だった。スカースナ(Skarsna.varnaf)先生は一般角の概念を導入して、生徒たちが退屈している様子なのを見ると、少しためらってこんな話をし始めた。
「ここは森だ。君達の進むべき道は以下のように求める。道の方角を、「出席番号を自分の年齢で割った値ひく今日の日付」を勾配としてもつ直線で与える。その方向を、色と角度で答えなさい」
ぼくたちはざわめいた。色白なのでflan(白)と呼ばれているカシャヴィユ(Fixa.kacaviju)は、ぼくの隣の席で大きく伸びをして、計算を始めた。彼女の姿を見ているうちに、ぼくは色々考え始めてしまった。カシャヴィユはぼくのことをどう思っているのだろう。ふと、彼女と目があった。ぼくは気恥ずかしくなって目をそらした。
さて、とりあえず計算するか。ぼくは今16歳で、出席番号が32番だ。今日は1日なので、
32/16 - 1 = 1
計算が簡単でよかった。プラス1か。つまりは白の50だな。
先生が手を叩いてぼくたちに黒板に自分の答えを書くように言った。カシャヴィユはすぐに立ち上がって黒板に向かった。ぼくもそのあとについて行く。みんなが真面目に書く中、ぼくも黒板の端に答えを書いた。
先生が丸付けをしていく。最後にぼくの数字を見て、先生は言った。
「白の50、flanの真ん中だね」
ぼくは大きく返事をした。
「はい、ぼくの行く道はflanの真ん中です」
そう言って、ぼくはflanを見やった。彼女は恥ずかしそうに微笑んで、でも、ぼくにうなずいてみせた。
ぼくの恋は今やっと始まったところだ。
数学史リレー小説 安崎旅人 @RyojinAnzaki
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