第11話 ラストデイ

 こうして、今年最後の日になった。ここ数日、彗星が徐々に大きく見えるようになってきていた。僕と遥はこの街が見晴らせる展望台へきていた。

 

 「ついに来ちゃったね、直ちゃん」

 「そうだなぁ。彗星どんどんデカくなって来てて、マジでめちゃくちゃ怖いんだけど」

 「しかも、これ結局負けイベだもんね」

 「それなぁ」


 そう、実の所彗星の規模が計算より更に大きかったのだ。予定されている出力じゃ精々ちょっと削るくらいがやっとらしい。こうなってしまえば遥が改造されたの、改造され損もいいところだと思う。


 彗星が近づいてくる。僕らは空を見上げる。

 「なぁ」

 「何?」

 「すごい今更なんだけどさ」

 「うん」

 「遥の事、どうも好きなんだと思う」

 「本当に今更だね」

 「うん、まったくだ」

 「でもさ、こういうの、青春っぽいよね」

 「かもね」

 「もしかしたら、今ので私たちが、この文明で、最後の青春を味わったのかもしれないよ」

 「青春の生き残り、か」

 「かもしれない、だけどね」

 「なら、ギリギリまで青春っぽい事するか」

 「え?」


 そう言うと、僕は遥の手を取り、携帯のインカメラを起動し、ツーショットを撮った。(了)

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ラストデイ ラッコ @rakko_lau

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