第10話 これから

 隕石が増えだして、彗星の落下がニュースになって、一週間くらいした頃。


 その日はなんとなく、放課後に散歩をしていた。その日も遥は休んでいて、自分はなんてことない一日を送っていた。そのはずだった。

 

 隕石が落ちてきた。自分のほぼ真上に。考える間も無くどんどん大きく近づいてくる。"あ、こりゃ死んだな"と思った辺りで、視界の端に光るものが見えた。


 次の瞬間、流れ星が下から上に流れ、隕石が消えていた。わけがわからないだろう。大丈夫だ、自分にもわけがわからない。


 「大丈夫?怪我はない?」


 あれ、おかしいな...幻聴か?休みのはずの遥の声が聞こえる。


 「幻聴か?みたいな顔してるけど幻聴じゃないよ。直ちゃん、大丈夫?」

 「遥?なんで?」

 「なんでって、私が隕石吹き飛ばしたから」

 「はい?えっ、今の流れ星みたいなやつ??改造人間てそんなやばいの出せるの?」

 「そりゃ、彗星落ちるの阻止する為だからこれの10倍くらいは出るよ」

 「隕石がジュッって溶けてたんだけど、それでも危ないくらいやばいの?例の彗星って」

 「うん、これの最大出力でも五分五分くらいだって」

 「それ、本当に遥がやる必要があるの?」

 「なんで?」

 「いくら遥にしか使えない装備だとしてもさ、そんなやばいものの為に改造される必要あったのかなって」

 「前も言ったけど、守りたいからね」

 「誰を?」

 「直ちゃんを」

 「はい?なんだって??」

 「直ちゃんを守りたいから。死なせたくないから。彗星が落ちたら大多数の人と一緒に、きっと直ちゃんも死んじゃうから。だから私は......」


 言葉にならない。こんなに思われていたという事に頭がついていかない。だけど、これを甘んじて受けるのは、なんだか違う気がした。


 「なぁ、もういいよ、無理しなくて」

 「えっ?」

 「そんなこと言ったってさ、怖いだろ?それに、今の10倍って、そんな威力のもの撃ったらただじゃ済まないんじゃないか」

 「かもね、でも......」

 「僕は、それで遥だけがいなくなる方が嫌だ。そう思うよ。」

 「そっか」

 「うん」


 こうして、僕は選択をした。彗星をどうこうする場に、僕も一緒に行く、という選択を。普通に最後まで過ごすつもりだったのにな、と思わなくもない。だけど、なぜか遥と一緒ならそれも悪くはないか、と思うのだ。

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