第2話

前回のあらすじ


動物のゲームをクリアした木狩たちは自由行動として、各自で行動した。


俺は自由行動のとき、つい寝てしまった。


木狩「…。」


俺は食堂へ向かった。


…食堂に着いたとき、ある変化に気づいた。


木狩「…城松は?」


五月雨「僕もわからないけど、いないみたいだね。」


黒山「うーむ…。とりあえずみんな集まってみてじゃのう。」


その後も人が来たが、城松だけが来なかった。


最上「なるほど。城松だけが来ていない、そして、心当たりは誰もないということだな。」


愛田「探してみようよ。もしかしたら…」


宝井「不吉なこと言わないほうがいいですよ。朝早くどこかに行った可能性も…。」


幕明「えっと…ちょっといいかな?」


五月雨「どうしたの?」


幕明「…僕が昨日貰ってきたハト知らない?」


木狩「ハト…俺は知らないな。」


黒山「城松とハトがいなくなったのか…?」


複坂「よーし、じゃあ探すかー!」


こうして俺たちは城松(とハト)を探した。


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…ダメだ、どこにもいない。


俺が食堂に戻ろうとしたとき、


黒山「おい!城松!」


と、個室を叩きながら叫ぶ黒山の姿があった。


木狩「どうしたんだ!?」


黒山「おお、木狩。それがな、個室が開かないんじゃ。」


木狩「じゃあ、個室に居るってことか?」


黒山「ああ、間違いないじゃろう。その証拠に、」


と、黒山が紙を渡してきた。


木狩「これは…?」


それには、


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うちは、もう嫌なんや。こんな、いつ殺されるかわからんデスゲームなんか。


もう、構わんでくれ。

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と書いてあった。


黒山「個室に貼っておった。」


木狩「城松…。」


正直言って、気持ちは分かる…分かってしまう。でも、前を向かない限りこのゲームは死ぬまで終わらない。


…城松は負けてしまっただけなのか?


このことを報告すべく、俺と黒山は一度食堂に戻った。


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「…。」


俺がこのことを話したとき、皆は全員口を閉ざした。無理もない。なぜなら、それぞれ一度は考えてしまう。


本当に希望はあるのか、本当に死なずに出られるのか、本当に俺たちがしていることは正しいのかを。


最初に口を開いたのは五月雨だった。


五月雨「…放っといてあげよう。今、城松さんに必要以上に話すとより傷つかせてしまう。」


梶野「…そうっすね。」


愛田「梶野ちゃん、いつもより口数が少ないけどどうしたの?」


梶野「あはは、少し具合が悪くて…。」


五月雨「無理はしないでね。」


梶野「…。」


木狩「…これからどうする?」


最上「そうだ…!みんな、ご飯食べてないんじゃないか?」


黒山「確かに、城松が抜けたからご飯はまだじゃのう。」


最上「私が作ろう。本当に少しの間だが、城松の隣で手伝ってたから少しはまともに作れるぞ。」


五月雨「じゃあ、僕も手伝おう。」


複坂「あっ、僕も僕もー!」


最上「わかった。」


幕明「話は変わるけど、五月雨くんと複坂くんは料理できるの?」


五月雨「まあね。毎日作ってたけど、自分にしか合わない味のものばかりだったよ。」


愛田「怖いよ!」


複坂「僕は作れないよ♪でも楽しそうだからやってみるよ!」


愛田「もっと怖いよ!?」


…俺は無事に食べれる料理が来ることを信じて待った。



木狩「…普通にうまい。」


最上「それは良かった。」


幕明「本当に美味しいね!」


最上「…複坂はともかく、五月雨のお陰だ。」


五月雨「いやいや、複坂くんが味見してくれたお陰だよ。」


複坂「ううっ、最初の味見は死ぬかと思った…。」


黒山「五月雨、最初はどんなものを作ったんじゃ?」


五月雨「僕、最初は目玉焼きを作ろうとして、味噌と唐辛子を…」


幕明「ストップストップ!何を作ろうとしてたの!?」


その後も会話は続き、気がついたら昼過ぎになっていた。


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五月雨「よし。皆食べ終わったことだし、地下室へ行こうか。」


黒山「ああ、そうしよう。」


愛田「…その、いいかな?」


と愛田が口を開いた。


愛田「本当に地下室の先に出口があるのかな?」


木狩「…え?」


愛田「なんか、ゲームマスターに騙されてる気がして…。」


と、その時…


ゲームマスター「皆様、いかがお過ごしでしょうか。」


木狩「…何の用だ。」


ゲームマスター「先ほど、ルールを追加しました。ご確認を。」


と、言い残してモニターは消えた。


五月雨「…確認してみよう。」


木狩(俺も確認しよう。)


俺は携帯でルールを確認した。


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「ルール」


皆様で殺し合いで二人になる、もしくは地下から脱出を目指してください。


1.監視カメラやモニター、携帯などの破壊はしないこと。


2.就寝時間までに個室に戻ること。


3.地下ではゲームマスターの指示に従うこと。


4.ゲームマスターはゲームを支配する立場。故にゲームマスターは嘘はつかない。


5.事故や自殺、そして地下のゲームでも、契約で死ななければ「犯人のいない事件」として扱う。その場合、誰か一人が犯人でもないのに殺されるため注意。


以下のことを踏まえて生活してください。ルールを破った方には、死を与えます。


────────────────────


新しく追加されたのは4と5か。

4のルールを見る限り、地下室に出口があるのは確かだ。

5のルールは俺たちにとって脅威だ。事故でも2人以上の犠牲が出てしまう。


愛田「…出口はちゃんとあるんだね。」


五月雨「でも、たとえ地下室でも犠牲が2人以上…。」


宝井「地下室の様子を見ながら、慎重に動きましょう。」


俺たちは、今日は自由行動として解散することにした。


木狩(俺はどうしようか…。)


俺は寝る気にもなれず、適当に探索することにした。


しかし何の収穫もなくすぐに1日が終わった。


今日も地下室ではなく自由行動になった。理由としては「これ以上犠牲者は出したくない」らしい。


また探索しようと、図書室を通りすぎたときに、


愛田「あっ、木狩くん。」


愛田に呼び止められた。そこには幕明と梶野もいた。


梶野「あっ、木狩さん。」


木狩「具合はよくなったのか?」


梶野「はは、少しは。」


木狩「前みたいに3人で本を読んでるのか?」


幕明「その通り。そしたら興味深いものが…。」


と、幕明は本を渡してきた。俺はそれを読み上げた。


木狩「木狩 秀輝、年齢17歳、

身長170.6、体重…って、俺の個人情報?」


幕明「どうやらそれだけじゃないみたい。」


と見ていくうちに、


木狩「五月雨、愛田…ここに居るメンバーがいる。」


中には知らない人も居た。


愛田「これって…お兄ちゃん?」


木狩「お兄ちゃん?」


愛田が指差したところには、愛田あいだ きわむと書かれていた。


梶野「これが愛田さんのお兄さんっすか。似てるっすね。」


幕明「特技もだって。」


愛田「農作業はお兄ちゃんとの共同作業だからね。」


木狩「…ということは、ここに居る人と関係ある人の個人情報もあるということか。」


梶野「念のためここに置いとくっすね。」


愛田「話が変わるけどさ、なんか変な匂いしない?」


幕明「確かに少しミントのような…ゲームマスターが図書室で落ち着かせるためにしたのかな?」


木狩「可能性としてはあるな。」


梶野「まあ、どれにせよいいんじゃないっすか?」


木狩「…まあな。」


俺は図書館を出た。


…それだけで特になにもなくまた1日が過ぎた。


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今日も前日と同じだ。探索をしていたが気になることがあった。


木狩(そういえば、あのメモリは…。)


俺はメモリのある部屋へ向かった。

…部屋に着いたとき、ある異変に気づいた。


木狩(テーブルがない?)


多分スイッチを押して一定時間経つとまたしまわれる仕掛けなのだろう。

…やけにご丁寧な仕掛けだ。


俺はまたスイッチを押そうとしたとき、


五月雨「あっ、木狩くん。」


と五月雨が来た。


木狩「五月雨か。」


五月雨「あれ、テーブルは?」


木狩「多分、スイッチを押して一定時間経つとまたもとに戻る仕掛けらしい。」


五月雨「なるほど、じゃあまたスイッチを押したら出てくるってことだね。」


俺はスイッチを押した。


すると…そこには…。


木狩「なんだ…これ。」


テーブルはテーブルでも、


五月雨「…これは。」


木狩「と、とりあえず皆を呼ぼう!」


五月雨「う、うん!」


俺と五月雨は全員をそこに集めた。


黒山「な、なんじゃこりゃぁー!!」


愛田「なんで、また、こんな…。」


梶野「…。」


幕明「何…これ…。」


最上「ここに居ないのは誰だ!?」


複坂「うーんと…城松さんと、一くんかな♪」


黒山「そういえば…一は毎日食事を摂っていたが、城松は食べ物はたくさん持ってったと書いてたメモがあった!」


宝井「じ、じゃあ城松さんが…?」


木狩「手分けして探すぞ!」


俺たちは全力を尽くして捜索を始めたのは12時半頃だった。


木狩(…どこを探せば。)


その時、一つの場所が思い浮かんだ。


木狩(あそこだ…!)


俺は向かう途中、黒山と宝井と出会った。


黒山「木狩、居たか!?」


木狩「いや、ただ気になるところがある。」


宝井「気になるところですか?」


黒山「じゃあ付いてくぞ!どちらにしたってもう探す場所が思い付かん!」


宝井「同感です!」


俺たちはあるところへ向かった。そこは、図書室だった。


宝井「ここですか?」


木狩「ああ。何か匂いがするだろ?」


黒山「確かに…。これはミントかのう?」


宝井「でもここに居るのですか?」


木狩「…あるだろ、人間が隠れるほどの大きな隠れ場所が。」


黒山「まさか、金庫?」


俺たちは大きな金庫の前に立った。城松は身長が小さいため、横たわっても問題ないくらいの大きさだった。しかし、鍵が掛かって開かなかった。


宝井「でも、ミントの香りはここからします!」


木狩「体力のある黒山だからこそ頼めることだ。複坂を呼んできてくれるか?」


宝井「あっ、ピッキングですね!」


黒山「男たるもの、断るわけにはいかんのう!任せとけ!」


と黒山が行こうとしたとき、複坂が来た。


複坂「あれ、ここに皆居るね。どうしたの?♪」


木狩「複坂、ちょうどいいところに。金庫をピッキングしてくれ!」


複坂「…えー、なんで?」


宝井「…え?」


複坂「だって、僕がピッキングしたら嫌な予感がするもん。」


木狩「嫌な予感?」


黒山「四の五の言ってないで速く開けんか!」


複坂「分かったよ。ちょっと時間かかるから。」


と少し待って、


カチャカチャ…ガチャン


複坂「うん、開いたよー。」


俺たちは中身を急いで確認した。無事なことを祈っていた。


しかし、その祈りは脆くも崩れた。


中には、血まみれのハンマー、沢山の芳香剤とドライアイス、そして、眠るように横になって死んでる、


城松 真魚の、安らかな姿があった。


────────────────────


死亡者


・城松


残り10人…

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ヘイサクウカン 2章 @sikizi

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