あなたと働きたい!





翌日、いつも通りの喫茶の朝、昨日は何も収穫が得られないまま喫茶に戻ってきてこれからの喫茶の在り方に頭を悩ませた。それでもいつもと変わらずまた、新しい朝は訪れる。開店準備を済ませてからマシロを起こしにいくが何故か部屋に引き籠もっていっこうに出て来てくれない事態のになっていた。こうなってしまったことに思い当たる点がなく頭を悩ませる。「どうしよう。ただでさえ人が不足しているでマシロまでに抜けてしまったら本当に世界の終わりになって葵さんの期待に応えることが出来なくなってしまう。もううちの店はお終いだー」誰も居ない店内に進藤の悲痛な声が響く。「私がお店を任せた男はこんなことで諦めるの!?」

そんな時、まだ、開店前のカフェの扉が開かれて一人のお客?が来店する。


と、その聞き覚えのある声に反応して。進藤は一階の来客を確認するためにホールに降りていくとそこには1人の女性の姿があったそれは、自分に店を託して出て行ってしまった葵さんが喫茶の入口に立っていた。スラリとした女の人でで後髪をポニーテールでまとめあげた姿で、高身長でキリッとした顔立ちでそこに居るだけで世界が華やかになる感じがした。

「葵さん!?どうしてここに。用事で出て行ったんじゃなかったんですか?」

「いやー、君にお店を任せてそろそろ一ヶ月くらい経つから困っているんじゃないかと思ってさ」「それはちょっと苦戦はしてますが。」「何で困ってるか当ててあげようか?コーヒーの味が可笑しくなっているでしょ。酸っぱかったりさ。」「そうですけど、なんでそれを」進藤は驚いたように尋ねてくる。「君は私を誰だと思ってるの?」「あ、そうでした。」「でもなんでコーヒーの味が可笑しくなるんですか?」「それは、豆の酸化だね。酸素に長時間触れることによってコーヒー豆が劣化してコーヒーの味に酸味やエグ味がでてきてしまうんだよ。」「はーそうなんですかー」「簡単に説明するとホットコーヒーを飲んでいると時間がたって冷めてしまうと味が美味しくなくなってしまうでしょ、それがコーヒー豆でも同じ現象がおきてしまうということなの。」

「あーそう言われたら最近のコーヒーはそんな可笑しな味でした。」進藤は納得したように頷く。「それで、だいたい、焙煎した豆だとだいたい一ヶ月かそこらで豆が完全に美味しさを失ってしまって今のような酸っぱい酸化した珈琲になるわけ、わたしがこのタイミングで戻ってきた理由、分かった?」葵さんは人差し指で「はい、これで合致しました。」

そうだ、すべてが分かった、七瀬が頼るべき人は自分ではないといっていたこともこれから先誰に助言を求めるべきかも。「あの、葵さん話があります。今のおれはとてもこの喫茶を1人では切り盛りできる自信がもありません。だからこれから、またどこかへ行ってしまわないでオレと一緒に喫茶を手助けして欲しいというか、これからもオレと一緒にずっとここで働いてださい!」と一成一大の告白をした。

「なにいきなり真剣な告白をしあているの、言われなくても喫茶の手伝いをしに戻ってきたんじゃない。これからは焙煎したての美味しいコーヒーを提供出来るんだから。それと、さっきの言葉だけどただ一緒に働いて欲しいって意味でいんだよね?」「えっまあ、そうですが他にどんな意味があるんですか?」となにがなんだか進藤はあっけらかんと葵さんに訊き返す。「無自覚ならそれいいっ!それ以上の意味では聞かなかったことにするから」

「あっ、はい。」いったい、葵さんがどんな意味として受け取っていたのか知らずオレと葵さんは無事に一緒に喫茶で働くことになった。あっ、居候が1人居るのを忘れてた。












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喫茶SERENAーエモい出会いは一杯のコーヒーからー 高月夢叶 @takatuki

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