打開策とは!?





        

木々もすっかり朱色に染められて10月も終わりに差し掛かろうとしている紅葉の季節。万代の町並み外れた土地に建つ喫茶SERENA。は今、集客を上手く出来ずにいてそれに加えて唯一のカフェスタッフであるマシロの失態続きで更に出費が増えてこのままでは閉店を迫られる勢いにあった。


「よし、コーヒーの味は安定してきた。ブレンドコーヒーも決まったしあとは集客さえ獲得できれば」「気付けばこの店を任されてからこんなに自分がコーヒーに夢中になるなんて思わなかったな。」「でも、ここ最近コーヒーの味が可笑しいんだよなー。いつも通りに淹れてるはずなのに......」

「そういえば、最近のシンドーのコーヒーは酸っぱいような変な味がする。」「そうか、マシロも気付いてたか。そうなんだよ、うちのコーヒーはどこかおかしい。」「それを解決しないことには先に進めないんだよなー。」朝カフェに来店してきた3組のお客さんが一組また一組と喫茶を去っていってとうとうお客が途絶えてしまったのだった。

「どうにかしないと。店が潰れるかどうかの死活問題だぞこれは」

「こうなったら最後の手段に出るしかないか...」と両腕をを組んでしばし考え込むの進藤だった。


  ✱              


喫茶SERENAの営業が終わり進藤はマシロが寝静まった頃を見計らいこっそり向かいのライバル店のCAFEdeLUCEに出て行く。「あれ?シンドーだ。こんな時間に何処に行くんだろう?」マシロは進藤の動向を確かめに行こうとこっそりと後を尾行する。

進藤は、テーブル席に1人座るとソワソワして周りの様子を伺う。

「よし、これだけ離れていればシンドーも気付かないはず」とマシロは進藤がCAFEセレナから出てくるのを見つけると、後を尾けて同じく向かいのカフェに入りの様子が覗える場所に座って様子を見る。「そうだ。一応店員に怪しまれないようにケーキとコーヒーでも注文しておこうかな!念の為だし別にわたしが食べたいわけじゃないんだから。すみませーん!このクリリとモフモフモンブランください。あと一緒にブレンドコーヒーも。」しばらく待っているとと同時に自分のテーブルにさっき注文したモンブランが届く。「やったきたっ。あっ・・・」と同時に進藤のところにも一人の女性が来る。綺麗な淡い栗色の髪で清楚感のある女の人という印象の彼女。「でも、あの女の人どこかで。」「あっそうだ。この前来店した時にフルーツタルトを運んできてくれたパティシエの女の人だ」でも、密会してまで一緒にいるということはきっと大切な人なんだ。実際、シンドーが頼るのはわたしの力なんじゃなくてあの人なんだとそれに比べてわたしはただの居候だし見劣りするよね。でも、恋人かどうかハッキリしたわけじゃないからしっかり確かめないと。

進藤の頭上の電球が煌びやかに点滅してまるでクリスマスのイルミネーションみたいになっていた。

「なんだ、奈々瀬、電球の光がいい感じに輝いてるな。」

「うん、なんだか知らないけどロマンチック。少し早いけどクリスマスムードね。」

「それで、こんな時間に呼び出して何の話なのかな?」「それはだな、今夜君をここに呼び出したのはちょっと頼みがあったこらなんだ。その頼みのというのは、今オレがある人から任されているカフェがピンチなんだ。だから七瀬さんの君の力でカフェの立て直しを手助けして欲しいんだ。」カフェ店内の二人を照らす電球の明かりが2人を包み込む「うん、いい感じ。このままいけば...」掲げた手を振り。運ばれてきたモンブランに頭を悩ませ手を付けるのをやめる。こんな私が付け入る隙なんてと魔法を掛けようとした手を下ろす。魔法で人を幸せにするなんてまだ、自分には荷が重すぎる。

「いい、今回の話であなたの店が大変なことはよく分かったよ、でも申し訳ないけど今すぐには答えを返すことはできないわというかあなたは力を頼るべき相手を間違っているのよ。」「私は、スイーツカフェの専属パティシエ自分の独断で商売換えはできないのよ。だから今は力になってあげられなくてごめんね。」

その場に進藤は1人力なく残されマシロも自信をなくしてその場を後にするのだった。


       

 














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