第2話 黒

燐堂 遥(リンドウ ハルカ)は、今日もまた悩んでいた。恋とは一体何なのか。もっとキラキラして輝く琥珀糖のようなものではなかったのか。


毎日のように性交しているが、ここに答えはないのだと気づいている。身体を交えていれば、特別な何かが手に入る気がしていた。輝きを取り戻せる気がしていた。しかし、その思いとは裏腹にドス黒い何かが私を襲う。自分の唯一の自慢であるこの長い黒髪が、スライムのようなドロッとした液体に変わり、相手と自分を飲み込んでいくような…。暗闇の中でただただ時間だけが過ぎ、行為が終わるのを傍観している自分がいた。


「また分からなかった。本当にわかりたいと思っているのかも、もう…」


暗くなった街の中を1人歩き始めた。

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酸いも甘いも ゆきむら @yuki_mura

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