酸いも甘いも
ゆきむら
第1話 ーーー。
黒髪の少女は、少し茶色がかった目を潤ませながら、月光に照らされ銀に輝く、白髪の少女へとゆっくり手を伸ばす。
「もう、会えないの?」
白髪の少女は、すっと伸ばされた手を握り、自分の頬へとすり寄せた。
「……大丈夫。私達はずっと友達だよ。」
黒髪の少女は彼女の頬を撫でながら、笑顔で答えた。
「友達…」
そして、もう一度自分に言い聞かせるように小さく呟いた。彼女は手を握りしめたまま少し俯くと、静かに涙をこぼし始めた。彼女の蒼く透き通った目が、涙と月によってより一層輝いて見えた。
大粒の涙をこぼしながら泣き続ける彼女に、声をかけることができないままでいた。月が陰るのを2度迎えようとした時、黒髪の少女はようやく口を開いた。
「また来週、違う世界で。」
すべてを察した彼女は
「待ってるね。」
と一言だけ発し、抑えきれない涙をぽろぽろとこぼしながら微笑んだ。
二人の少女は約束を交わし、違う道へと足を進めた。
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