「大金」と「借金」

 ここまで書いてきてふと、ある例えができるのではないかと思った。それはイケメン・美人な顔を「大金」に、ブサイクを「借金」に例えるものである。イケメン・美人は先述した通り、ブサイクが数百万掛けないと、いや掛けても完璧にはなれない顔に0円でなっているのだから「大金」に例えても言い過ぎということはないだろう。勿論「大金」だ、いろんな人が何もせずとも寄ってくる。そこでよい出会いが生まれるかもしれないし、残念な場合ストーカーに付きまとわれるかもしれない。でも「大金」だからこそ、ブサイクより人生における選択肢は幅広い。まずモデルやアイドルになってその「顔」を売りにすることができる。写真集・握手会などはその典型例だろう。最近ではTwitterやInstagramで顔の写真を撮って載せるだけで数千数万のいいね等評価をもらえることがあるが、それもいい例だろう。勿論「顔」を売りにしなくともよい。勉強し頭の良い大学に入ったり、スポーツを極めて活躍選手になったっていい。この場合、「『顔』+α」になるわけだからアドバンテージは相当大きい。「借金」のブサイクはこうはいかない。当然モデルやアイドルになることはかなり厳しい。頑張ってアイドルになったところで、注目されなかったり、所謂「ブスドル」扱いされる。少なくとも「可愛いアイドル」として注目されることはない。残念ながら。当然写真集は出せないだろうし、TwitterやInstagramで顔の写真を載せたところで評価をもらえることはない。仮に評価をもらったとしたらそれは「こんなアイドルがいるのか」という「好奇」によるものであって、「可愛い」という評価ではないのではないか。美しさで勝負できないのだ。そうなるとブサイクは勉強したり、スポーツに励むなど、美を必要としない分野で努力するしかない。しかし先述のいじめのように、まっとうに生活していても、ブサイクであるからという思いがけないことでいじめられ、努力が妨害されることもありうる。これはもはや「借金」だろう。背中に一生背負わざるを得ないという点で本当の借金より悪質かもしれない。それを切り抜けて頭の良い大学に入学したり、オリンピック選手のような活躍選手になったところで、それしか評価されない。イケメン・美人だったら「イケメン○○」、「美人○○」のように評価される一方で。

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「顔」は価値である フィネンタ @FINTAITIURO

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