魔王に成り上がったスライム~子育てしながら気ままに異世界を旅する~

Mei

第1話 プロローグ

「勝者、ニール=ヴィラン!!」

 審判らしき人物が右手をあげ、勝者のコールをする。その瞬間、闘技場の観客席から大歓声があがる。

最弱種・・・じゃなかったのかよ!?」

「すげえぇぇ!!」

スライム・・・・が魔王になったなんて今まで聞いたこともない!!」

そんな声が観客席の方から聞こえる。

 そんな中俺は、

(はぁぁ……。どいつもこいつも弱すぎる・・・・……。これでよくここまで勝ち上がれたな……。)

と心の中でそんな事を思いながら、目の前で気絶しているミノタウロス、もとい魔王候補のビゲーズ・ガリフスを見下ろす・・・・。 因みに俺は、今魔法で人間に近い仮の姿をしている。黒髪赤眼、スラッとした身体に凛とした顔立ち。我ながら結構イケメンではないかと思う。

 俺はビゲーズを一瞥すると、その場を後にする。

(はぁ……。これからの生活……。退屈しそうだ……)

 俺はそんな事を思いながらこれからの日々を想像し、溜め息をつくのだった。



 魔王選定試験から数ヶ月たった頃。俺、ニールは魔王の椅子をくるくると回しながら、今日も仕事に取り組んでいる……というかほとんど、幹部とかしたっぱとかに仕事持ってかれてるからやることがない。

(……魔王とか名ばかりの退屈過ぎる肩書きじゃないか!! ここ数ヶ月ずっとこんなんだし……。そうだ! 旅に出よう! どうせ仕事も無いんだし、旅に出ても問題ない!)

 俺はすぐさま旅に出る支度を整える。とは言っても武器は持ってないから要らないし……。食料一ヶ月分くらい持ってこう。後は……。一応野営の道具と……。これぐらいでいいだろう。

 俺は"魔法で作られたポーチ"に次々と荷物をいれていく。魔法で作られているので、見た目以上に容量のある優れものだ。

 さて、準備もできた所で……。早速出掛けよう!! このワクワクする気持ち。なんと久しぶりな事か。ああ、やりたいことがたくさんありすぎて困るぜーー!!

 と、俺がウキウキしている所に。



コンコン



扉がノックされた。

「魔王様ー。入っても良いですかー」

げっ!! 早く出発しないと見つかってしまう!!

「"ゲート"!!」

 俺は急いで"ゲート"を発動させる。急いで出現させたからどこに繋がってるかわからんが、とりあえず出発だ!!

 誰かが扉をノックしたせいで、慌ただしい出発となってしまったが、これからどんな旅になるのか、そんな期待を胸にニールは"ゲート"をくぐったのだった。





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