第3話 キラークルの森 ー2
(……。もう、朝か……)
俺は朝の眩しい光に目を覚まさせられた。
(……朝食でも作るか)
俺はそう思い立ち、"
俺はテントからでて、簡易キッチンと必要な食材、テーブル、椅子をポーチから出す。
(うーん……。昨日と同じメニューでいっかな)
俺はそう思い、昨日の手順で料理を作っていく。料理に少し慣れたのかよくわからないが、昨日よりも速く料理出来るようになっていた。これは喜ばしいことだと思う。
暫くして料理が出来上がり、それらをテーブルの上に置く。
「ん~~。いつ食っても肉は飽きないね」
ニールはそんな事を言いながら、肉、野菜、肉、野菜と交互に食っていく。やがて、食べ終わり、簡易キッチン、テーブル、椅子をしまうとふと、昨日採った薬草の数々を思い出す。
(そうだ! 昨日取った薬草でポーションを作っておこう。何かの役にたつかもしれないし)
ニールはポーチから昨日採った薬草のうちメラン草、レコリン草、ファシー草、エギン草を取り出す。
「まずは回復ポーションからだな」
ニールはそう言って四つの薬草の中からメラン草を取る。
「……あ。ポーションの瓶どうしよう」
ニールははたとポーションの瓶を持っていない事に気づく。ポーションの瓶を生成するにしても、ガラスの類いの素材がないと不可能だ。
「……。まあ、いいや。素材が見つかったらポーションを作るか」
ニールはポーションを作ることを断念し、四つの薬草をポーチに戻す。魔王城からポーションの瓶なりなんなり持ってくれば良かったなと後悔した。
ニールはまだ開かれていた魔物除けの結晶がついたテントを畳んでポーチにしまい、旅支度を整えて出発した。
「相変わらず良い天気だぜ! こりゃ、旅がより一層楽しくなりそうだ」
俺はそんな事を言いながら、森の中を歩く。すると、
「ガルルルゥ……」
奥から三匹の魔物が現れた。犬のような姿で黒い色、それに鋭い牙を持っている。
「……あれは"ハウンド"か」
ハウンドは魔物の中でも下位の方に属し、駆け出し冒険者だと数人で掛かってようやく倒せるレベルの魔物だ。素早さはそこそこあるのだが……。まあ、ぶっちゃけ全然弱い。
「ガルゥ!!」
三体のハウンドが鳴き声をあげ、正面から俺を同時に攻めてくる。
「ふん……。正面から攻めてくるとは。もう少し考えたらどうだ? "
俺が魔法を唱えると、三匹に炎の弾が結構なスピードで向かっていく。
「ガルゥ!?」
三匹のハウンドは断末魔の悲鳴をあげ、絶命した。
「……。素材を採取しようと思ったんだが、後片も残らずに消えてしまったか……。仕方ない、次は少し加減するか」
俺は再び森の中を歩き始める。今日の目的はここで木材の採取をすることだ。ついでに広そうな土地も確保したい。
ニールは、丈夫そうな木を見つけては"
「"
えーと……。どこだ……。お、良いところ発見! 北西に約五キロメートルか。よし。行ってみよう。
ニールがそう決意し、北西方向に歩みを進めようとした、その時。
人間で言うところの四、五歳位の女の子が木々の中から現れた。身なりもボロボロであり、服も所々破けてしまっている。
「ハァハァ……」
満身創痍の状態で女の子は尚も歩みを進め続ける。すると。
「グオオオオォォォ!!」
その小さな女の子の後ろから、体長三、四メートルくらいの巨大な犬のような姿をした、黒色の鋭い牙を持つ魔物が現れた。
「あれは……! "ハウンドの上位種の"グロースハウンド"……! なぜ、こんな所に奴が……? ……それよりもあの子を助けないと! "ローデイル"」
俺は魔法によってスピードを上げ、急いで小さい女の子を抱え"グロースハウンド"から離れる。と、その直後。
ドゴーーーーーーン!!
地面を揺らすほどの衝撃が森全体に響くように伝わった。
後ろを振り返ると、地面に大きな穴が空いていた。
俺は小さい女の子を取り敢えず離れた場所に移動させる。
「ここから離れるなよ? また追いかけ回されるのも大変だしな」
俺は小さい女の子に対して、安全だからここにいてみたいな事を伝える。きっとこの子はあの魔物に追われてここまで逃げてきたのだろう。小さい女の子も満身創痍の中、軽く頷き返してくれる。よし。これでひとまず安心だな。それにしても……。久々に少し思い切り
俺は久々に少し思い切り遊べる相手に出会えて内心少しワクワクしていた。
魔王城にいた時なんか何もかもが退屈で、そんな毎日に嫌気が差していた。だが、旅に出ると、こうした魔物にも出会える。それも俺が旅をすることにした一つの理由なのかもしれないな。
俺が、グロースハウンドに向かって魔法を放つ。ちょっとばかし威力を上乗せして。
「"
すると、グロースハウンドを中心に爆風が起こる。その爆風は吹き荒れると共に、グロースハウンドを切り刻んでいく。
「グオオオオォォ!?」
グロースハウンドは断末魔の悲鳴を上げる。
暫くして爆風が収まると、そこには何もいなかった。
「あ……。またやっちまった。グロースハウンドの素材はそこそこ売れるから後で採取でもしたかったんだが……。まあ仕方ないか」
俺はため息をつくと、後ろにいる小さい女の子の方へと歩みを進めるのだった。
魔王に成り上がったスライム~子育てしながら気ままに異世界を旅する~ Mei @reifolen
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