第2話 腕を振ってあしをまげのばす運動

「新しい朝が来た。希望の朝だ」


そんな台詞を口にする奴は、よっぽど御目出度い奴だ。


世界はいつも輝いていて、今日は昨日よりも素晴らしくて、人生には成功しかない、とか思っているような奴だろう。


世界はいつも下らなくて、今日は昨日となにも変わらず平坦で、人生には失敗しか見当たらない。


俺が過ごしてきた18年間の人生は、割合そんな感じだった。


「新しい朝が来た。希望の朝だ」


全てはあの女と出会った事から始まった。


これから話すのは、ある夏の話だ。


俺と、あの女の、とびきり暑い一夏の話だ。


世界はいつも下らなくて、今日は昨日となにも変わらず平坦で、人生には失敗しか見当たらない。

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らじおたいそう @gen1108

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