言語の下手さ

韮崎旭

言語の下手さ

 ろくに日本語が話せない状態で人間に見間違われてしまった、それは身体障碍であるところの精神障害を併発した僕の不幸をよりひどいものにした。朝日におびえて暮らせるならまさいいのだが、感情語が機能停止をして、すべてがニュートラルになる、しかもその実嫌悪で塗りつぶされるような環境下で習得した母語は足が体をなさぬ奇形児となり僕に迷惑をかけた

 そもそも人間でもなかったために、人間あつかいをしないでいただけると幸いなのだが、出れもそんな話にまじめに取り合わないので、赤字でわかりやく、「欠格条項!」と書いておいた。法に守られるほど法ではないが、倫理に、道徳に、社会規範にはいくらでも反してもできるだけ法には反しないのが信条のはずであると思いたい。思いたいが、僕は自殺がしたいのだ、・僕自身にとり、僕がはなはだ邪魔だから暴力的に殺害したいのだが、体力が足りていないし、人間ではなかった。僕は数年前に死産されたことで知られているはずだが、が、完治しろよ、もしくは

 、この鬱が雨のように、雨音の隙間の鬱の夜に、消え去れない願いがロマンチックに暴騰するからさ、だから死にたい、迎えに来てほしい、出向くほどの意欲が持ち合わせられないので、死んでいてくれ、え?

 君は人間が嘔吐したいわゆる吐瀉物が苦手なんですか? 僕はいきた人間が心の底から胃壁焼き払う勢いで本当、虫唾が走るとかもうそんな程度じゃすまない嫌いなんですよ、わかります? わかるな。笑顔を作るな。諭すな。軽蔑しろ。

 僕はそれに値するんだろうから。軽蔑したらいい、人間はどいつもこいつ不平等にトチくるっていて、なににも価値がなく、すべてが不衛生で、そして陰惨で無残。見るに堪えないものを無理に称賛する姿勢が滑稽なのだが、むしろ涙ぐましいので、自殺したいもんだよ。だって他人の悲劇でいちいち感情語を駆使して社交していたらそんなもん廃人まっしぐらさ、そうだろう?

 はやくもっと気が狂わないと、ここから出ていかないと、でどこに行くんですか、知りませんよ。

 あるいは僕だけが知る来世に遊びに行ってきます。楽しそうでしょう?

 そういった不具を拘束衣として、話せない舌は千枚通しでめった刺し。飽きるだろ? 

 なあ、飽きるよね。飽きませんこと、飽きますとも。数重年来の敗北がなんでまた、心音を聞かせるのか、どういうった悪弊なのか、問いただしたい気分でいっぱいのまま、駅にはもう何もないしそれは跡地になっていたし、ああああああああ次回までに自壊させておこうみたいな古い記録媒体が僕を苦しませるがそれが本当に苦痛なのかそのような観測を可能とする何らかのパターンなのか、自我を、ささげるのは暗夜の蹉跌、声を引き裂いては返す土質に、ささやき声がやさしく導く、何もかも無視して、台無しにした、懐かしいと思った。

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言語の下手さ 韮崎旭 @nakaimaizumi

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