第38話 暑中の死神

コーヒーカップを手に

見てるんだか聞いてるんだか

わからないテレビをつけて座っていた

田原の前まで行った


まだ着替えてないのか

と 目で語っていた

だからこっちからは

今日は学校行きたくないんだって

顔をそむけた


この状況

なんだよ

昨日

あれを振り払った

代償かよ


腹の底から

煮えたぎった

泥炭でいたんとマグマを足したような感情が


オモムロニ


コーヒーの

香りを奪って

テレビの

画面をシャットアウトして


床に

力任せに

無闇むやみな音に

朝が重なる


だが

「やめろっっっ」

と同時に

引きがされる


俺は田原の胸の上

「いっそ、殺してくれ」

いつかの死神が

俺を呼んでいる


フルエガトマラナインダ


その日二人で学校を休んだ

夕暮れを忘れた窓辺

に小さく映る俺は あいつは

何を望むのか




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