第33話 今 外は雨

床で死んだ制服の下から

眼球がこっちを向いた

外はまだ雨だろうか

雨粒の数が時間を埋めた


重なっただけのこの男

仙崎の知り合い

だが「大切にしたい」と言った

ソレは怖い


神様がつれていった奴らみたいに

理解した瞬間

また孤独に抱かれ

また空白を抱く


うんざりだ

浮ついた日常は

無用だ

男のベルトに手をかけた


「そんなことしなくてもいい」

男は立ち上がった

俺もつられ上半身を起こす

「あんた仙崎の知り合いだろ」


男は制服の上着をハンガーにかけて

「そうだけど、違う」

答えながら俺の制服も手に取った

無数の眼球が


まばたきを忘れて

部屋のすべてに転がった

こっちを見たまま

俺の心臓も脳みそも食べた


「じゃあ、何なんだよ」

止まった鼓動

消えた心音

残った血のこう


「好きだ」

雷鳴轟きうめく窓ガラス

神様の余興

運命なんて大嫌いだ


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