第31話 まわる
高二の夏が幕を閉じた
ほんの少しの暑さが
街の真ん中に
まだ居座っていた
それとは全く別の
名もなき空間
ベッドの真ん中で
目を開けた
乱れたシーツを引きずり
見えたシャツに手を伸ばす
着てみると
サイズが違う
ったく、どこのどいつだ
寝入る前の相手を思い出す
が
記憶は蒸発していた
いつの頃からか
何人相手にしたかなんて
数えるのはやめた
あの頃みたいに
仕事じゃない
何人相手にしたからって
何を強要されたからって
金になるわけじゃない
なんだよ
何なんだよ
俺は何者だ
俺は何なんだ
ベッドでも
それ以外でも
相手の言いなり
次々と巣食うなり
四肢が震えるのは
快感でなく
悔恨の極み
これはいつまで続くのか
ドロシーでさえ
ゴールを見つけた
俺のゴールはどこだ
ゴールってなんだ
ああ、また堂々巡り
ドアが開いて一筋の光
これが
煉瓦の道だったり
「俺のシャツ着て何してんだよ」
仙崎のか
脱ごうとした俺に
「そのままでいい。そそる」
閉じる光
問いの答え
道はない
闇の
四肢は死ぬことを許されず
ただ
飼われたモルモットのように
偽りの
自由を
つたう
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