第16話 パンケーキの表裏

夏休みの七月

日の長さに反比例するかのように過ぎていく

毎日八時起床

習慣付いた体は音を立てて階段を下りていく


キッチンにはあいつがいる

二階の右端が俺の部屋

左端があいつの部屋

あいつの生活音は聞こえない


一体何時に起きてるんだよ

ひっくり返ったパンケーキがつぶやく

はちみつが残り少ないとあいつが言う

今日はある分で食べればいいと

俺はパンケーキをまた返す


そういえば

制服のクリーニング

まだ取りに行ってなかったなと

俺はパンケーキを皿に乗せた

あいつは口角を下げ 消化しきれない顔で

皿をテーブルに運んだ


それがなんであるのか

考える必要が俺にあっただろうか


帰ってきて洗濯物を取り込む

夕飯は夏野菜のラタトゥイユ


夕飯を食べ、皿洗いも終わった

見たいテレビはない

部屋でイヤホンから聞こえる音楽

ベッドの上から見る天井


いきなり天井が暗くなる

訳が分からず上半身を起こす

「「痛っ」」

声が二つ

イヤホンから音符が

三つ四つこぼれていた

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