第9話 不可抗力?

朝の電車

あいつは空気より先に

俺の隣に来ようとする

離れたくて

ひとつ飛ばした吊革につかまる


そんなことをしても

あいつに捕まる

俺の隣を死守する

ため息が電車の天井に溜まる


電車がカーブする

体が揺れる

同じ方向に

違う方向に


肩が当たる

電車のせいなんだよ

肩に当たる

うれしそうにするんじゃねーよ


帰りは満員電車

ドアの近くに立つはめに

あいつは俺の目の前に立つ

鉄格子かよ


電車がカーブする

あいつの体だけが

世界から許された方向に揺れる

重なる制服


刹那

前髪

絡まる

アホ

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