第4話 カラオケに行くより

あの女は言っていた

「カラオケは恥ずかしい」

「セックスの方がまし」

そんなもんかと納得


俺も同じ穴のムジナ

セックスのハードルは低い

誰彼構わず

どこそこ構わず


放課後、生徒達が

大した目的も持たず帰っていく

その波をかき分けて

入ってきた同級生


暇だろ、俺ん家に来いよと誘われる

その意味が何であるのかはわかっている

俺たちも

大した目的も持たず帰るだけ


そいつの名は仙崎神谷せんざきこうや

俺のハードルを知る男

その部屋には机はなく、ベッドだけ

それだけの部屋

するだけの部屋


制服はとうに捨てられ

手も口も胸も下半身も

重なりあう度、振るえて

お互いの欲望を消化させる


部屋にはベッドと俺たちだけ

声と音が

壁と床の間で皮肉を言う


お前たちはここでしか生きていない


いや、

それは俺だけだ

後ろから求められ

横から這わせられ

前からつらぬかれ

上から舐められ

下から弾かれ


俺は生きている

大した目的も持たずに




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