第2話 噂通りの二年生

使い古したサッカーボール

右往左往の男子生徒

授業だとはいえ

めんどうなだけの回転シュート


休憩まであと十分

時計を見るため息


右耳から

「ヤラせてくれるんだって」とオーダー

俺とその声の間を駆け抜けていく生徒達

俺は振り返り「ああ」と

逆光の顔を置き去りにする


日頃の行いは実を結び

今日はメガネの男を落としてきた


メガネに手をかける

「このままで」

ボタンに手をかける

「そのままで」


男の手が

俺のあご先にとまる

それは蝶か蛾か


口の中には二人分の唾液

そんな顔なら女に不自由しないだろ

そんな舌なら男も放っておきはしないだろ


吐息は交差する

間を置かず

距離を置かず


ようやく離れたと思ったら

男は下へ下へ

膨らみをこばまないそれを口に含む


そっちかよ

喘ぎ声が教室の窓に爪を立てた



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