第3話 この世界と今後について。
アリスちゃんが出ていった後、ふくちゃんが話しはじめた。
「しらちゃん。この世界について俺が知っている限りのことを話すよ。この世界には、魔法や加護、魔術や精霊魔法といった、常識はずれなことがたくさんある。
ここまでは俺たちが知っている異世界のイメージと変わらないんだ。俺も、最初は普通だと思ってたんだ。でもね、俺はこの世界で約100年過ごして気づいたことがあるんだ。この世界には魔王より上の存在の”何かがいる”ってね。もちろん、それはドラゴンとか、上級悪魔とか、そんな生ぬるいものじゃないよ。強いて言うなら、多分それは神と呼ばれるものだ。この世界で崇められる存在。」
「ちょっと待てよ!ふくちゃんがこの世界で約100年!?俺らって二年前に中学校卒業したばっかだぞ!?何を言って……」
「全て真実だよ。俺は2022年9月21日に魔王軍によって転移された。そこは、ハッキリ覚えているよ。そして約80年を掛けて魔王になった。」
「…嘘だろ…!?俺が転移したのは9月22日だったぞ…そしたら、俺はふくちゃんが転移した次の日に転移したのか……って、まさかこっちの世界では100年たっているのに、あっちでは1日しか経っていないのか!?」
「そうなのか、あっちでは1日しか経っていないのか…これは初耳だよ。それとねしらちゃん。俺はあっちに帰らなければならないんだ。実はね、妹が病気にかかっちゃって、看病してあげなきゃいけないんだ。だから、俺はあの世界に帰らなければいけない。で、あっちの世界に帰る方法を考え出したんだ。そう、この世界の神を倒すことだ。多分、俺達を転移させたのは、転移先のその場にいたものではない。これは、紛れもなく神の仕業だ。少し考えればわかることさ。他の世界から人を呼ぶなんて、いくら魔力が高くてもありえないだろ??俺はその神を倒して帰るために魔王になった。そして、魔王軍全体を使って神に挑むんだ。」
「うん。分かった俺はふくちゃんの事を全力でサポートするよ!俺が誰よりも強くなって、絶対に神を倒すんだ!」
「……ありがとう。しらちゃんが俺の親友で良かったよ!後ね、ハッキリ言ってしらちゃん、今めちゃくちゃ弱いよ??だってゴーレムに倒されるくらいなんだもん」
グサッと心に刺さる。
魔王軍の前であんなに強気で自己紹介して、ゴーレムにワンパンKOされた、自分が恥ずかしく思えてくる。
「…そうだな。なんならお前が鍛えてくれよ。だって、魔王じゃん??後ね、絶対に今からは、しらちゃんって言っちゃだめだぞ。俺がお前の部下に殺されるかもしれない。今からは、不知火って呼ぶんだ。いいな??俺は魔王って呼ぶから」
「しょうがないなぁ……よし!しらちゃん、そうと決まれば明日から修行ね!」
やばっっ…むっちゃきつそう。アリスちゃんに頼めばよかったかなぁ…
「うん、明日からよろしくな魔王!」
「後、今日から不知火の専属メイドとして、アリスちゃんに頼んでおくから。」
え?
貧弱勇者は強くなりたい!! @Rogunasan
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