第2話


 3.


 わたくしは高校受験も無事に成功し、隣の市の公立高校へと通う事となりました。特に問題もなく、母への負担を掛けさせない為にも、公立高校へと進学出来たことが嬉しかったと覚えております。


 ただ、わたくしが現在悩まされている違和感は現在も通っているこの高校で感じたので御座います。



 4.


 その日は人権教育の為、何クラスかの生徒が集まり、参考ビデオを観ることとなっておりました。三年次で学習する内容ですので、就職や進学についての事柄が多く御座いました。その中でも、見せられたビデオの中で、『離婚をした主人公親子が、就職面接の際に片親である事が影響しないか不安だ』というシーンが御座いました。

 ただその時はこれといって何も思いはしなかったのですが、その次に主人公が友人へと吐露した『保護者欄に母親の名前を書くのが嫌だ』という台詞を聞いた瞬間、私は内の何かを壊された気が致しました。


 今までなんの躊躇いもなく保護者欄に記入してきた母の名前は、世間一般からすると可笑しかったのでしょうか?研修や修学旅行で提出してきた保険証のコピーが二枚ある事も、側から見たら可笑しかったのでしょうか?


 わたくしはここに来て、やっと、本当の現実を垣間見た気が致します。もっとコンプレックスだと思うべきだったと、一人で頑張る母が誇らしいなど周りから見たら綺麗事や現実逃避に過ぎないのだと、そう思ったのです。


 もう一つの違和感、それは高校では片親の子がいると言うのをなかなか聞かない事です。聞けば両親は学校の先生やら公務員やら、自営業やら。わたくしの家庭とは似ても似つかぬ子ばかりで御座いました。

 その瞬間にわたくしはある事が明確に理解できたのです。——わたくしは場違いなのだと。



 5.


 何故かもう、何も考えられなくなりました。ただ、今は受験シーズンなので、そちらに専念しようとは思いますが、最近のこの出来事があまりにもショックでしたので、稚拙な文章ながら書かせていただきました。慰めて貰いたいとか、叱ってほしいとか、そう言うことではなく、ただ単に胸の内を吐き出したかっただけです。どれだけ嘆こうと今の状況が、私の過ごして来た環境は変えることは出来ません。今はただ、母の支えになれるように一刻も早く、社会人として自立したく思っております。


 気分を害された方は誠に申し訳ございません。お目汚し失礼致しました。

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It isn't understood. 水景 龍爛 @Suzu_20_92

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