19. 見いだされた男
冬の寒さがほんの少しゆるんでくる二月。梅がチラホラとほころぶシーズンです。
ある夜、ここにひどく不似合いな人物が訪れました。
乞食たち「…えっ」
乞食たちは、何かいいことがあるのかも知れないと思って、ぽつぽつとしゃべりはじめました。どういう家に生まれて、どういう暮らしをしていて、そしてどういうキッカケで乞食におちぶれてしまったのか。
とはいえ、
乞食「さあ、次はあっしだ。名前は、鼻声の
乞食「えっ」
手下のうち数人がガサガサと音をたててそこに向かい、「おい、中のもの」と呼んで、入り口のムシロを無造作にめくりました。その直後に、「うおっ」という声とともに、ひとりの体が宙に舞いました。
手下たち「きさま、抵抗するな!」
中にいた男は、「お前らが勝手にオレの城に入ってきたのだ」と叫んで、さらに躍りかかってくる手下たちを殴り倒し、投げ飛ばし、なかなか簡単には言うことを聞いてくれそうにありません。
仁王立ちになってにらみつけるその男に、
男は、今聞いたことの意味をすこし考えました。「…なんだ?
男はどっかりあぐらをかきました。
男「ああん?」
男「…それがオレと何の関係がある」
男はすこしポカンとして、それから大声で笑い出しました。「…アッハッハ、ばかばかしい! その
男は、
男「(こいつ、どういうつもりだ)」
それからしばらくの間、無言で二人はにらみ合いました。ついに、男のほうが折れました。
男「…わかったよ、言われたとおりにすればいいんだろ。ほら、どこにでも連れていけよ」
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