11. 復讐者、せまる
家臣達は色めき立ちます。「な、なんだと、本当か!」
西行に話を振られた
頼朝が「なにをじっとしている
どうして
- - -
彼は、さきに
こんなわけで、
- - -
さて、こんなわけで、
門から外に出た
男「なにかご用で…」
重忠「うむ、お前に興味がある。体格がよく、下げている武器もなかなか立派だ。腕に覚えがある者とみた。ま、少し腰かけて話そうじゃないか」
男「…」
重忠「おぬし、どこのどういう男だ。もしかして武者修行でもしているのか」
男「はあ。…飛騨に生まれてそこで育ちました。家の名などありません。父母とも早くに死にましたし、兄弟もありません。鎌倉まで来たのも、いろいろ見たくて、なんとなくです」
重忠「なるほどな。オレはお前が気に入った。オレのもとで出世してみんか」
男「…」
重忠「まあ、お前に選り好みがなければ、だがな。所領も少しは与えられるぞ」
男「…ご好意、ありがとうございます。ですが、まだしばらく武者修行を重ねて、広く世間を知ってからにしたいと思います。そのときにもなお縁が残っているなら、ぜひ」
重忠「うむ、それもよいだろう。お主が決めることだ、無理強いはしないぞ」
男はすこしだけ表情を固くしました。「…いや、特にどこも… 私はとくに教養もありませんし」
重忠は、扇を取り出すと、これに筆でサラサラと一句したためました。
夏くればふせやが下にやすらひて しみづの里にすみつきぬべし
男はこれを受け取り、何度か句を読み返してつぶやいたあと、「ありがとうございます、それではまた…」と言い残して立ち上がり、そのまま歩いて去っていきました。
重忠たち三人は、彼が見えなくなるまでずっと動きませんでした。
重忠は、今から三人で手分けして義高の行方を探すことにしました。
光実「は、はい…」
三人はその後の待ち合わせ場所を決め、それから散りました。重忠は西に、
このうち、義高を見つけることができたのは
しかし、いざ切りつけようとすると、義高の姿はそこにはありません。
光実「バケモノめ」
光実はなおもひるまず、この大ネズミに刀を突き立てようとしました。しかし何の手応えもなく、不思議と空を切る感触しかしません。
義高「お前をここで殺すことは簡単だが… 復讐のために私を狙うその
義高の声は、大きな笑い声に変化しました。突然、浜では白波が高くしぶきをあげ、千鳥の群れがどっと飛び立っていきました。それらが止んだときには、光実のまわりには誰もおらず、静かな海と夕闇ばかりがありました。
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