3. 義仲、猫をいじめる
征夷大将軍になれなかった
実は、裏で
石田「
後白河上皇は、ついに我慢がならなくなって、山門(延暦寺)に命じて
後白河「これはかなわん。誰か、あいつに直接会って、なんとかして怒りをなだめ、言い分を聞いてきてやってくれ」
この難しい役目を命じられたのは、
取次ぎ「
取次ぎ「いえ、
そして、目の前に通された猫間に向かい…
猫間「
猫間「…」
猫間は黙ったまま穏やかな顔で話すチャンスを待っていましたが、後ろに控えていた
フスマごしに石田が現れて、「猫間どのにお食事を持って参りました」と言い、ネコ用のボウルに山盛りにしたメシを猫間の目前に置きました。
猫間「…」
猫間はあいかわらず一言も口を開かず、困ったように横を向いて、静かにかしこまったままです。あくまで、穏便にことを収めよ、との命令だからです。ただ、ここまでの愚弄に大いに腹をたてており、握った拳は
猫間の前にさっと出た
義仲がこの一言を言い終わらないうちに、すぐに石田が走り寄って
わめきまくる正忠を、郎党たちが部屋の外に抱えて運んで行きました。
猫間「…い、石田どの」
石田「(身づくろいを正しながら)なんでしょう」
猫間「このまま、
石田「お気の毒であるが、
猫間「なんとかして、あの方をなだめてもらえぬか。そして
石田「ふむ… まあ、方法はなくはない。こういうときに効くのは、贈り物と決まっておる」
猫間「武人に喜ばれるような鎧も、武器も、私どもは持っておらんが」
石田「うん。もとより、ハンパな品ではわが
猫間「! そんな…」
猫間はこの提案にショックを受けてしばらく考え込んでしまいました。「まさか、家の宝を… いや、しかし、真に家を守るのは、
猫間は、「よろしゅうございます。あとで家のものに届けさせます」と約束し、
摂政「あいつ、ハンパないです。もはやめちゃくちゃだ」
後白河「もう何でもいい、今のところはあいつの言うことを聞いてやるしかない…」
石田「うん、彼の身柄はもう返すよ。帰って、待っておれ」
猫間「ホッ。あの金の猫のおかげですか」
石田「イヤ実は、あまり
猫間「ではどうして
石田「聞いておらんか。ついさっき、後白河上皇からの
猫間「…」
石田「で、たちまちゴキゲン、ってことだ。もうお前にもお前の部下にも用はないから、そんだけのことさ」
猫間「…」
そして翌朝、主を呼びに来た家の
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