第20話 あの頃の記憶
小学校から中学時代、私は今とは違う場所に住んでいて、都会なんか縁遠い緑豊かな田舎に住んでいた。
暴力を振るう親は仕事場は隣町で遠かったこともあり隣町にマンションを借りてそこに住んでいたので何もされずに済んでいた。
私が当時住んでいた家は母の弟の家、つまり叔父さんの家であった。
叔父さんは母とは違い寡黙であまり喋らないが非常に温かくて、叔母さんは豪快でおしゃべり、厳しいところもあるがそこには優しさが感じられた。
小学校のことはあまり覚えていないが楽しかったことは覚えている。
中学校も楽しくてクラスメイトは少なかったが、特に喧嘩やいじめは無くて全員仲が良かった。
こんな私にさえ友達がいて、吹雪と言う名前でクラスで一番背が低くて童顔のため小学生中学年に見える本当に可愛らしい子だった。
あまり喋る事が得意ではない私にも積極的に話しかけてくれて、私の話も相槌を打ちながら笑って聞いてくれる本当に良い友達だった。
部活では美術部を選択した。部員は5人と少なくて私と吹雪、先輩3人であった。
活動は気が向いたらする程度であったのでほとんど何もしていなかった。
絵が上手かったかと言われたらそうでも無かった。せいぜい県の展示会で展示されるくらいのものであった。
このままこの田舎に留まって楽しく暮らして行きたかった。
しかし、そんな時間は長くは続かなかった。
高校に入学するタイミングで親と同居することになった事で私は今の状況までになったのだ。
そんな楽しかった過去を全て思い出した。
私は真っ黒な世界で頭を抱えて蹲っていた。
見上げるともう一人の私が私を見下ろしていた。
私はそのまま気を失ってしまった。
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