第10話答えは求めても……

 トンネルを出ると、既に謎の影はいなくなっていた。


(もう行くところもないだろうし、緑の門を通って門だらけの世界に戻ろう)


「クロ、行こう」


「キャー!キャー!」


 あの影は一体どこに行ったのかわからない。警戒し続けていないとあの槍みたいなもので刺されそうだ。

 私は確かにあの時死んだわけだけど、それでもこの世界では痛みを感じるようだし、息も苦しくなることも分かった。

 少し疑問も湧いてきていたこともある。門の世界にならあの自身を影と呼ばせる奴がいるのだろう。


 懐中電灯片手に来た道を戻り、緑の門を通って門だらけの世界へと帰還した。


「影。何処にいるの?」


「キャー!!」


「お嬢ちゃんから呼ばれるとは思わなかったな。なんだい?聞きたい事があるんだろう?」


 随分と上の方から声がする。

 声がする方を見ると、青色の門の上に座って影がこちらを見下ろしていた。


「ええ。影、この世界のことについてよ。この世界は死者の夢世界って言ったわよね?」


「ああそうだよ?それが?」


「もしそうなら何故痛みを感じて、血の通った生きてる生物がいるの?」


 影は首を少し傾け、ニヤリと笑ったように感じた。


「あらあらあら、ちょっと察しちゃったか。お嬢ちゃんがここに来た時話だけどこの世界は非常に不安定な世界だ。そして、ここに流れ着くのは死者の中でも一部の存在だ。勿論、今まで門の世界にいた生物も同じ存在だ。それが何かは言えないが、お嬢ちゃんの質問に答えるにはここだけは言わなきゃならないかもね。あのゼリー生物とか僕の同類とかは死者じゃない。しかし、生者でもないということさ」


「全然わからないよ。どういうこと?」


「それは君が見て、知るしかないのさ。そしてそのためにどう行動しようとそれはお嬢ちゃんの責任だ。ここでは自分で答えを求め探求する事は出来る。だが、人から聞く事は出来ないと思った方がいい。言えるのはこれだけさ。それじゃ、答え求めて世界を巡りたまえ」


「あっ、ちょっと!」


 影は青い門の上から飛び降りて消えてしまった。


 答えは求めてもいいが自分で見つけろと……。


「なら答え見つけてこの世界がどういう世界なのか解いてやるわ」


 私の言葉を聞いて、どこかで影がほくそ笑んでいるように直感で感じた。

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