異世界チート無双もしたかったなぁ
ドンドン。
ドンドン。
次の日の朝、扉を叩く音によって起こされた俺は必死に耳を塞いで寝ようとするが音が大き過ぎて寝れなかった。
「フンッ、来てやったわよヤマト!この大英雄、勇者ユーナ・ブレイバーがね!」
ってお前かーい!何が大英雄だよ!お前何時か分かってんの!?3時半じゃねぇか!朝じゃなくて、深夜じゃねぇか!
「貴方の友達のユーナよ!開けなさいよ!」
やってる事は友達じゃなくて借金取りだけどな!
俺はまだ眠い身体を起こして扉を開けると、ユーナは涙目になっていて少し悪い事をしたと思った。
って、悪いことしてねぇよ!朝3時に来る方が悪い事なんだっての!
「・・・遅いじゃない!」
「いや、違うからね!?お前が早いんだからね!?」
「何言ってるのよ!朝の3時なら皆起きてる時間よ!?」
あ、アレか?ジェネレーションギャップならぬワールドギャップなの?ワールドギャップってなんか世界一を決める大会みたいだな。
「いや、俺の世界じゃ起きてないからね?寝てるからね?何ならこの時間に寝る奴も居るから」
「じゃあ、どうやって作物育てんのよ!」
「知らねぇよ!そもそも農家の人なんて全然居ねぇんだよ!」
そもそも、俺は社畜になるつもりも農家になるつもりも無かった。野球をしまくってプロ目指すつもりが死んでしまったし…。死んでなくてもVR技術の研究者なんだけどね..。
「あ、そうだ」
「どうしたのよ急に」
「そっちの世界には冒険者とか無かったのかよ?」
冒険者は異世界転生系の王道職業な気がするし、一度なってみたかったかなぁ。てか天国に住んでる勇者がボッチ野郎なんて聞いてねぇよ。可愛いから良いけど。
「あるに決まってるじゃない。なかったら勇者なんて過労死しちゃうわよ」
「なってみたいなぁ冒険者。魔法とか撃ったら気持ち良いだろうなぁ」
ほんと、剣と魔法の世界には憧れるぜ…。みんなでワイワイやりながら未知のダンジョンを冒険したり、強敵と戦ってワクワクして楽しいだろうなぁ…。
「なれるわよ?」
「へ?」
「だから、なれるって言ってるのよ」
「いや、お前..まさか..ここ天国だぞ?」
「天国の住人は特典無しで異世界に行けるのよ。その代わり、自分を知ってる人が居たら、その人死んじゃったり記憶が消えたりされるけど」
てことは、元の世界に行っても親族には会えないのか..。ん?俺が異世界に行ったらユーナとサタンを知ってる人達の記憶消えたり死んじゃうってことか?
「お前達行けないじゃん..俺はお前達と遊びたいのに」
「な!....なに言ってんのよあんた!それに50年前の私を知ってる人なんて居ないわよ。伝説にはなってるけど私の本当の顔を知ってる人は限りなく少ない筈だから大丈夫よ」
なるほど。それにしても天国初心者だから、分からないことが多いなぁ。でも、天国って楽しいなぁ!
「じゃあ!サタン誘って早速行こうぜユーナ!」
「じゃあ、今から行きましょう?」
俺は直ぐに着替えてユーナと共にサタンの家に向かった。インターホンを押すと直ぐに返事があった。てか、インターホンって異世界にもあんのかよ..。
「..はい?」
「お?サタンか?俺だヤマトだ。今から異世界行くんだけどお前も来ないか?」
「...わかった。少し待ってるがいい。支度を済ませて、そちらに向かうからのぉ。」
超眠たそうなんだけど、可愛い声だからなんとも言えないのは卑怯だよなぁ。
「おい!超眠そうだったんですけど!?やっぱり嘘なんじゃねぇの!?」
「アイツは魔王だから、食事は基本無いのは当たり前でしょ!?食べたい時も下っ端が適当に作ってるわよ!」
「え、そうなんだ。確かに魔王が農作業してたから少し笑うかも」
でも、アイツ魔王らしくないと言うか、こう威圧されるというか威厳みたいなのが無かったんだよなぁ。異世界じゃそれが当たり前なのか?異世界って言えば、俺、向こうの言語理解出来んのか?
「向こうの世界の言語って俺理解出来んの?」
「理解できないに決まってんじゃないの。アンタバカなの?」
「え、でもお前ら俺の言葉理解してるよな?てか、バカじゃないから。バカって言った方がバカだから。バカ勇者」
つーか、バカじゃなくて無知なんだよ!何も教えて貰ってないからね!?知らなくて当たり前だからね?
「そんなの私とアイツが翻訳魔法使ってるからに決まってるじゃない。てか、アタシ勇者だから史上最強の勇者だから。アンタよりスゴいから」
なんて会話をしながら、ちょっとした口論をして時間を潰した。
天国に住む勇者との会話が超楽しい件 cremazona @cremazona
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