勇者と友達になる(魔王も)
を開けると畳の部屋に居た。恐らく此処が天国での俺の住処なのだろう。生前はずっと平屋に住みたいと思っていたので、そこを汲んでくれたのだろう。
「ふう。此処が俺の家・・・でいいんだよな?取り敢えず異世界の勇者だった奴を探そうかな・・・」
俺が、自分の家から出ると赤毛の女の子が俺の家前に立っていた。
「アンタ、なんでこんな所に住もうと思ったわけ!?普通思わないでしょ!」
と、辺りを見回すと俺の家(誰も居なさそうだし俺の家な)の右隣にも如何にも異世界という感じの家が建っていた。そして、左隣を見るとまさに魔王の城とでもいうのかすごく大きい城が建っていた。だが、それ以外には何も無い。つまり
「も、もしかしてお前が勇者!?」
勇者の近くに住みたい→ここには魔王の城(仮)と異世界の家しかない。そして、ここに居るってことは二分の一で勇者なのだ。多分
「ふっ、そうよ!私がユーナ・ブレイバー!50年前、1人で魔王を倒した大英雄よ!」
す、すげぇ!一人で魔王を倒した英雄!?かっけぇよ!
「フッ、その実、仲間は愚か友達さえ出来なかった。ただのぼっちだがのう」
と、城の方からやって来た銀髪の女の子が居た。頭に二本の角が生えていて何か可愛いなぁ。中学生の背丈だけど胸が大きいのもポイントは高いな。
「そんな事ないわよ!私はアンタと違って友達くらい居たわよ!」
「お前は誰だ?」
あぁ、これアレだ。両者共に友達いなかったんだ。どうやって魔王になったんだよお前。もしかして実はお前魔王の手下とか?それなら信じられるな・・・
「我が名はサタン・キュート!50年前勇者を倒した魔王なり!」
こいつら相討ちやないかーい!両者共倒れかよ!しかも、コイツ魔王の癖にぼっちかよ!どうやって魔王になったんだよ!手下の奴らは、一体誰に仕えてたんだよ!
「お前ら相討ちかよ!しかも、サタン!お前なんて魔王なのになんでぼっち!?いや、ユーナも勇者なのにぼっちってあるの!?」
「我はぼっちなどでは無い!」
「私もよ!それに、」
「「私はアンタなんかに倒されてない!」」
コイツら本当に相討ちしたんだな。しかもめちゃくちゃ負けず嫌いじゃん。しかも俺ら全員ぼっちかよ・・・。悲しいなぁ・・・。
「あんたね!認めなさいよ!アンタが煙になって消えるのちゃんと見たんだからね!」
「我は眠たくなったから少し寝ただけだ!そなたこそ、認めたらどうだ?そなたの顔が蒼白になって死ぬ所を我は見たぞ!」
「私だって、眠たくて寝ただけよ!変な勘違いしないでくれる!?」
取り敢えず俺の前で繰り広げられている論争にピリオドを打つべく言葉を発する。
「じ、実は俺もぼっちだったんだよね・・・。お前らとは違う世界にいたんだけど」
するとユーナは直ぐに顔を紅くして鼻息を荒くした。それはもうフンスと聞こえるくらいには荒くなっていた。
「ふーん?じゃ、じゃあ、私が友達になってあげてもいいわよ?」
その言葉を聞いたサタンは急いで決めポーズを取ってセリフを考え始める。こいつアレだ。厨二病だわ絶対。
「我と共に遊んだり?我とお話することを許可しようでは無いか!」
チロチロと素が出てる所が物凄っく可愛くてグッとくる。
「アンタね!こいつは人間なのよ!なに魔族のアンタが友達になろうと言っているのよ!」
「う、うるさいぞ!ユーナ!こやつからは、魔族の匂いを感じるからいいではないか!」
魔族の匂いなんてねぇよ!100%純人間から生まれた人間だよ!つーか!なんだよ魔族の匂いってすげぇ臭そうだわ!あれ?これ差別?でも、俺の印象がそうなんだよね・・・。怒るならオークが悪いんです。
「で、どうするの?私とサタンどっちを取るの!?」
「我とこの小娘を選ぶなら決まっておるだろう?ヒューマン」
正直どっちも惜しいと思っています。仕方ありませんよね?俺は悪くないんです。そう俺はね?
「俺は二人と仲良くなりたい。2人と仲良くなって二人の冒険譚とかそういうの聞きたいからココに来たんだよ。俺は」
ココはホントの事を言おうと思った。たった一人で勇者をやるなんて、そんなメンタルを俺は持てない。だが、勇者というものはいろんな人に期待されただろう。色んな人が憧れただろう。なのに、友達が居ないのだ。人の為に傷つき、人の為に正義を為した。そんな彼女に友達が居なくていい道理は無いじゃないか!
「俺はお前らと仲良くなりたい!それじゃあ、ダメか!?ユーナ!サタン!」
「我は別に・・・構わん・・・ぞ・・・?」
「わ、私もアンタがそれでいいなら別にいいわよ?」
ここから始まるのだ。ぼっちと勇者と魔王から始まる物語が・・・。
「お前らよろしくな!」
「そういや、聞いてなかったけどあんたの名前ってなに?」
「む・・・それは我も気になっていた。貴様の名はなんというのだ?」
と、締まらないなぁと思いながら苦笑いする。別に締まらなくてもいいと、不思議と思えたから別にいい。
「俺の名前?俺は大和。西田大和だ改めてよろしく」
「よろしくヤマト!」
と、ユーナが笑顔で答えてくれる。普通に可愛いので思わずドキッとするが、その感情を無視してサタンを見る。
「フッよろしく。ヤマト」
と、やはり決めポーズで挨拶してくる彼女はやはり厨二病だと、確信に変わるのは至極当然のことだろう。
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