天国に住む勇者との会話が超楽しい件
cremazona
いざ天国へ
ふと、目が覚める。ついさっきまでとても気持ちのいい感覚だったのに、目が覚めてしまうとその感覚は消え失せていた。というか、自分が現実リアルに未練が何も無い事が驚きだ。それにしても、皆が泣いてたりする所、見たかったぞ!アレ?皆、泣いてくれるよね?少し不安だし見たくないかも....
「てか、ここ何処だ?アレか?天国か?」
『いいえ。ここは天国ではありません』
俺の目の前に舞い降りてきたゴールデンボール。略して金玉!なんて、心の中で呟いても、テンションが上がらない年齢なので、俺はこの金玉が、何か、というのを聞こうとすると─
「私は貴方達の世界で言われる"神"です」
「OK。信じよう。だから、お願いだから俺の心の中の言葉を聞かないで!」
「金玉と呼んだことに対して、天罰は下りませんので大丈夫です」
なんだよ。俺を騙しやがったな!このクソ金玉!ボウリング場で転がしてストライク取ってやろうか!あぁん!?ボウリングなんて人生で2回しか行ってないから、ストライクなんて簡単に取れないけどさ・・・。
「貴方達から見た神様とは、この様な姿をした人の事を言うのは知っています」
と、金玉がホログラムで真っ白のローブを羽織って白い髭と髪を伸ばし羽根を生やした如何にも神様って感じの人が映し出される。
これだよ!神様ってのは!この、姿なんだよ!なんで、お前金玉なんだよ。馬鹿じゃねぇの?バーカバーカ!
「では問いますが、なぜ神は人類の進化系なのに人の姿をしているのでしょう?」
それはアレだ。そういう風に変化してるんだよきっと。
「それだと羽根が生えている時点で頭の可笑しい中二病老人になりますが?」
神様感を出すなら、羽根は欠かせないだろ!?
「私も羽根なら出せますよ?ですが、瞬間移動できますし、浮遊も出来ますし、なんなら羽根がなくても飛べますよ?」
別に俺が神様に対してどんな姿をしていると思ってもお前がそれを侵害するのは神様としてどうなんだよ!
「どうなんだ。と、言われましても間違った感性を正そうと思っただけなのですが・・・」
てか、本題を言えよ!俺が助けた女の子はどうなったんだ。
お分かりの方も居るかもしれないが、俺は死んでいる。さっき学校の階段から落ちそうだった女の子を助けて死んだ。死ぬ間際、滅茶苦茶気持ちが良かったのは言うまでもないだろう。あの噂本当だったんだとか、思いながら死んだので少し恥ずかしい。
「貴方が助けた女の子は貴方のお陰で助かりました。こちらとしても少し予定に無かった事だったので驚きましたが誤差の範囲です」
この神様とやらは、未来を予知・・・もしくは、それらを超越した何かを見ているのだろう。そのことに関しては普通に凄いと思った。というか、俺がこの神様の計算外の事をしたなんて、少し嬉しいなぁ!
「貴方は良かったのですか?死んでも」
「別に?どうせあとの人生なんて、クソだろ?」
普通にサラリーマンして独身のまま死ぬか、嫁のケツに敷かれるんだろ?それなら、天国でも何処でも行って遊んだ方が100倍いい。
「貴方はこの後、VRの研究をし、大学生を卒業する頃にはフルダイブ型のVRを完成させ、富と名声、そしてメs・・・女性の方にもおモテになられる運命でした」
今こいつメスって言いかけたな。神様だから人の女もメスって呼ぶんだろうが俺の前でそう言われると少し嫌だ。
「うっーわ!何やってん俺?うわあああああ!戻して!俺の身体戻して!お願いだから!」
「では、貴方には4つの選択肢があります」
と、俺の遺体を燃やされる映像を映し出されながら、そんなことを告げる神はまさに、悪魔だ。魔王だ。鬼だ・・・。
「まず1つ目は天国に行く事です。こちらでは死ぬ前の記憶を持ったまま現実世界と似たような世界で暮らしますが、その為には永遠に天国で暮らさないといけません」
永遠に暮らすのか。それはそれで、辛いなぁ・・・。でも、働かなくてもいいんだろうなぁ。
「勿論。働かなくても構いませんが。働きたいと強く申し出た方には、働いてもらう事もできます」
やはり、天国なだけあって自由なんだな。そういう所は。
「こちらの世界では全てが自由です。人を殺す事も、死ぬ事も何もかも自由ですが、殺したとしても傷ついたとしても3日で無かったことになります」
殺す事もって・・・。どんだけ自由なんだよ怖いよ。次!
「2つ目は元いた世界に転生です。こちらは記憶を無くしてしまいますし、どこの国に行くかもランダムです。名前も変わります」
何それ大博打じゃん!記憶無くなるのはそうだろうな。でも、時々前世の記憶を持ったまま生まれたりする人がいるけど?
「確かにそのような人はいますが、その人達は私の不手際で記憶を持ったまま転生させてしまった人達です」
尚更博打じゃないか?記憶を持ったまま転生できるかもしれないが、俺は生前ぼっちだったし、そこは変わらないから却下!って事で次!
「3つ目は異世界転生です。記憶を消して生まれ変わりすることも出来ますし、そのままの姿で転生することも出来ますが前者なら2つ後者なら一つ才能や武具を持っていけます」
才能に関してはアレだ。前者だとその才能を見つけられない可能性もあるから怖い。武具も盗まれたら最悪だ。何それ嫌だな。てか、その世界で死んだ人たちも同じ天国に行くのか?
「はい。天国はひとつしか有りませんので、そういう事になりますね」
ほう・・・。それはいい事を聞いたかもしれないが取り敢えず次!
「最後に地獄へ行く事です」
ふっざけんなぁ!!地獄って嫌だよ!舌抜かれたりするんだろ?誰が行くんだよ!
「ドMの人達が行ったりしてますね。人を殺す事で快楽を得る人間も天国へ行けないので地獄か転生か、異世界転生かのどれかですので」
ドMの人達マジのドSの人達に殺られてるのかよ!怖いよ!超怖いよ!絶対行きたくねぇ!俺は至ってノーマルだからお断りだよ!
「あぁ、その、天国で人を指名してその人の近くに住む事って出来ますか?」
「勿論出来ますよ。ですが、貴方の身の回りで死んでいる人は居ませんが?」
「異世界で勇者だった人が住んでいる近くに天国の住民として住みたいです!」
これが俺の妥協点だ。異世界で勇者になるのは俺には難しいだろう。努力なんて今までしてこなかった俺が死んでもそこは治らないだろう。なら、勇者は辞めて勇者の体験談を聞こうではないか!野郎でハーレム築いてる屑の近くに住むのは嫌だなぁ・・・。どうせなら女の子と住みたいなぁ。てか、女勇者って稀有な存在な感じがするし無理かぁ..。
「了解しました。それでは天国への転移を開始します。3・・・2・・・1・・・それでは良い旅を」
その言葉と同時に俺の視界は白色に染まっていくのだった。
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