**********
私は、生きている。
不遇な自分と、これから自らに降りかかるであろう不幸に抗うように。
幼い頃、友人には当たり前のように父親がいた。
母と祖母の三人で暮らしていた私にとって、その生活はありふれたものだった。しかし、ふとした瞬間に感じる孤独は、幼い少女だった私を飲み込んだ。
昔は悲しいことがあると、決まって誰かに吐き出していたような気がする。私は、誰に話していたのだろうか。
父がこの世を去ったのは、私が言葉を覚える前だった。
父もまた、幼い頃にその父を亡くしたという。
私はこれからの人生を一人で生きていくと決めていた。
ある雨の日、一匹の子猫を路地で見た。
この街には猫が多すぎる。
その小さな黒猫は、とても一人では生きていけそうになかった。
この子には、父も母もいないのだろうか。
ああ、そうだった。
今度は私があなたの話をきいてあげる。
昨日の街、明日の猫。 zabu @bsaameto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます