ハロウィンとは何ぞや

陽月

ハロウィンとは何ぞや

 最近、テレビではハロウィンと言いつつ、おかしな格好をしている。

 スーパーへ行けば、おかしなカボチャやお化け、コウモリで飾り付けをしてある。

 昔はこんな物なかった。一体全体、ハロウィンとやらは何なのか。


「ただいま」

 ハロウィンとはと、考えているところへ、孫がちょうど帰ってきた。

 こういう洒落たことは、若いもんに訊くに限る。

「おう、おかえり。ちょっとええか?」

「うん? 何?」

 面倒くさそうな顔をする。年寄りを邪険にしおって。


「ハローインって何や?」

 孫の視線が、テレビへ動く。

「ヨーロッパのどっかの国の行事で、先祖の霊が帰ってくるのが起源やったかな」

 先祖の霊が帰ってくる日なんか。なるほど。

「お盆みたいなもんか。せやかて、なんであんな変な格好するんや?」

「一緒に悪い霊も来て、子供をさらうから、攫われんようにやったかな」

「百鬼夜行みたいなもんか?」

 孫は少し、考える。

「うん、まあ、そんなもんちゃう。もうええ?」

 あながち間違ってはいないようだ。


「あのカボチャは、なんなんや?」

「あれ、食べれへんカボチャやで。ランタンにして、先祖の霊の目印にするんやって」

 なるほど、お盆の提灯みたいな物か。


 もう一つ、訊かなと思っていたことがあるのだが、なんと言っていたか、どうにも思い出せない。

『トリック・オア・トリート』

 テレビがちょうど、訊きたかったことを喋った。

「トリトリって何や」

「トリック・オア・トリート。お菓子をくれなきゃいたずらするぞ、って意味。子供がそれを言ってお菓子を貰うの」

 子供がお菓子を貰うんか、地蔵盆みたいなもんか。


「もうええ?」

 孫がずいぶん苛立ってきている。知りたいことも訊けたし、そろそろ。

「せやな。おおきに」

 孫は自分の部屋へと行く。

 また一つ賢くなった。やはり、若い者に訊くに限る。

 今度、みんなにも教えてやろう。


 ハロウィンは、ヨーロッパのお盆で百鬼夜行も一緒に来る。

 カボチャは提灯で、子供らが地蔵盆みたいにお菓子を貰う。

 なんや、もともと日本にあるもんをくっつけただけかいな。

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