短歌2首「伸びる」
ドライヤーに かける時間が 伸びるほど
望む「私」に なれつつあるか
髪を乾かす時間は煩わしい。でも、それが段々と長くなっていると自覚するほどに私の心は嬉しさで浮き立つ。なりたい私に近付いているんだってわかるから。
それに伸ばしてみてはっきり気付いた。ウィッグの方が気軽だって。地毛の手入れは面倒くさい。でも、それにあれこれと悩むほどに私の心は楽しさで湧き立つ。なれないと思っていた私に近付けるようになった。それだけで幸せだから。
買ったのは味気ない無地のヘアゴム
括れるようになったごほうび
ついに二本で一五〇円のヘアゴムを買った。日常使いの何てことない黒いヘアゴム。使い捨ての大量生産のヘアゴム。手首に巻いておくだけで得られる安心感。やっとここまで伸ばせた。何の抵抗もなく括れるようになった。なりたい私に近付いた大きな一歩。一五〇円に詰まったかけがえのない幸せ。
艶歌集 壬生 葵 @aoene1000bon
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