第34話 「虎の巻」の語源にもなった太公望の兵法書『六韜』

 前回太公望の話をしたので、今回は太公望の兵法書『六韜りくとう』について。


「韜」は武器を入れる袋のことで、つまるところ「六つの武器(兵法)をおさめた書」という意味です。


 本当に太公望の兵法かどうかについては怪しいところなのですが、中国の春秋戦国時代にはすでに存在していたといわれます。


『六韜』には「文韜」「武韜」「龍韜」「虎韜」「豹韜」「犬韜」の六つの章があり、太公望が文王や武王に兵法を論じる内容で、対話によって話が進んでいきます。

 また最初の章では、釣りをしている太公望に文王が出会う話です。

 読みやすい本なので、興味があったらぜひ読んでみてください。


『六韜』は『孫子』や『呉子』などとならぶ、中国の武経七書(七大兵法書)の一つともされ、兵法家にとっては必読書でした。

 また日本にも伝わり、源義経がこれを読んで兵法を極めたともいいます。


 四章の「虎韜」ですが、ここでは軍用(軍隊の武器の使い方など)が書かれており、これがいわゆる「虎の巻」と呼ばれるものです。

 現在でも「虎の巻」は、重要なことの書かれた本を指します。受験用の参考書でも「虎の巻」とタイトルに書かれたものが見られると思います。

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