第25話 老子は実在していた?

 中国思想における道家の祖というだけでなく、『封神演義』などの物語にも登場し、もはや神仙の代名詞ともされてしまっている老子。

 

 この老子は実在していたのでしょうか?


 司馬遷の『史記』によれば、老子は姓を、名を、字をたんといいます。


 唐代の天子は李姓だったので、老子を祭り上げていました。

 また中国の李姓の人たちは、老子が自分たちの祖先だとしています。

 

『荘子』には老子が孔子の師匠だったという話があり、それが通説になってしまっていますが、これは道家が儒家よりも上だということをいいたいがためにつくりだした話とも見られています。


『史記』では老子について詳細に書かれており、その子孫についての記述まであります。

 ただそれらの情報がどこから来たのかが不明です。『史記』以前における李耳に関する文献がないからです。


 一つの解釈としては、李耳りじというだれだかわからない人物がいて、その者が老聃(老子)という架空の人物に自分を託して『老子』を書いたとも考えられてもいます。

 けっきょく、よくわからないというのが結論なのでしょう。


 宗教としての道教においては、太上老君たいじょうろうくんという最高神・三清の一柱とされています(ほかは元始天尊、太上道君(霊宝天尊))。

『封神演義』を読んだことのある方にはなじみ深いかと思います。

 このあたりまでくると、もはやもとの道家としての老子とは別物です。

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