第5話 『春秋』ってなに?
ここでは『春秋』という歴史書について話をします。
古代より中国の王朝は歴史を記録する習慣がありました。また各地の諸侯たちも自分の国の史書をつくっています。
魯の国でつくられた史書を『春秋』というのは第1話で書きましたが、ほかの国でも史書はつくられていて、たとえば晋の史書は『
『春秋』の内容ですが、淡々と簡潔に歴史を記録しているだけです。これは中国のほかの史書にも見られる特徴で、あくまで歴史は客観的に記録しなければならないという姿勢でしょう。
ただ簡潔すぎて意味が分からないということもあり、後世では史書に注釈がつけられます。
『春秋』は孔子が書いたということもあって、
「孔子の書いたことだから、そこには深い意味があるのではないか」
として、注釈書が多く誕生しました。
とくに名が知られているのは、『春秋三伝』と呼ばれる三冊の注釈書です。
『春秋
『春秋公羊伝』は孔子の弟子である
『春秋穀梁伝』もおなじく子夏の門下、
ただこの2冊は歴史のことよりも、孔子の真意を記述することに力が費やされています。
いっぽう『春秋左氏伝』は歴史的事実を詳しく書いた注釈書であり、『
三冊の中で一番人気があるのは、この『左伝』です。
作者は
『左伝』は後世でも研究がつづけられ、三国志では
また三国統一に貢献した晋の
たんなる歴史書でなく、物語的な面白さのある『左伝』には、現在でも多くの愛好家がいます。
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