第一幕 3.レェィズィパーソン、加護持ちになる
AM11:16 ヴァネッサ地方役場 4階 音楽相談科
「なんじゃあ、この加護はぁっ!!!」
うわっ!びっくひした!あぁ、舌を噛んでしまった…!痛い…(泣)血が出てきちゃったし…それよりここに居る皆さん方、びっくりしすぎて固まっちゃってるし…そりゃあ、そうだよなぁ…役場で叫ぶ人はまずいないし、そもそもその叫んでる人物があのロンメル叔父さんだもんなぁ……あんな大人しそうな人が叫んだらまあそうなるよな……あ、あそこに居る人なんte…いやいや、それより何がそんなに叔父さんは驚いているんだろう?叔父さんの方を見るとまだ興奮と心配の入り交じったような顔をしている。ん、そう言えば加護がどうちゃらこうちゃらって言ってたけどまさか…?
「どうかしたんですか??あと、加護がどうしたんですかっ??」
「い、い、いりゃあ、これは驚いたよ…!まあ、なんじゃ、取り敢えずおめでとさん!君も立派な加護持ちじゃ!」
え?
はっ!?一瞬思考回路が停止したぞ…!しかしまさかのまさかが当たるとは……!!でも音楽音痴の自分が音楽の加護を持つなんて…!あ、あぁ、頭が混乱してきた……
そんな嬉しそうな、でもびっくりしている顔を見たのだろうか叔父さんはこう続けた。
「あ、でもなぁ、これに驚いてたんじゃが、この加護は始めてみるんじゃよ…!どんな楽器なのかも、音も…!ここに何十年もいるこのわしでも分からんのじゃよ…」
え……え、え!?そんな!ロンメル叔父さんでも分からない楽器ってあるのか…!しかもその楽器の加護か…!色んな事に驚きすぎて混乱に混乱が重なる…そんな感情の中、恐る恐る叔父さんに尋ねてみた。
「あ、あの…!叔父さん!その加護……、その楽器の名前は…?」
「あぁー、言っておらんかったなぁ。サクソフォンじゃよ。恐らくそう読むのじゃろう。」
サクソフォン…!確かにしらない楽器だ。どんな楽器なのだろう?どんな音がなるのであろう??何に近い楽器なのだろう???頭の中に数多くの疑問が沸いてくるのを感じた。そして一番疑問に思ったこと。自分が本当に扱えるような楽器なのだろうか?楽しみと不安と心配と嬉しさと…!色んな感情が混ざった、こんな感じは久しぶりな感じがする。自分は余り感情を表に出さないことを自負していることもあり自分でも驚いているのである。人はそう簡単に変われやしない、特に自分はそうだ、と、そうずっと思っていた。だけど…だからこそ……!
「自分、頑張ってみます…!!確かに自分には音楽センスも何もないけれど…それでも、自分が出来る限りの事はしてみたいです!」
「変わったの。」
「え?」
「変わったんじゃよ。お前さんの目が、心が。あの日が起こる前みたいにな。」
「………」
そう、あの日以来、僕は物事を考えすぎるようになり、何事からにも興味を失うことになったんだ。
音楽の都とサクソフォン ~始まりのサクソフォン~ 綾乃音 @Ayanooto-902
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。音楽の都とサクソフォン ~始まりのサクソフォン~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます