4-6話 あなたはとてもうまくAIのフリをしているヒトです

 チューリングテストとはヒトと人工知能(AI)が対話を通してコミュニケーションを取り、どちらが人工知能なのかをはっきりさせるための、テストのようなゲームであり、ペーパーテストでは原則としてないんだけど、そういうのがある、という世界設定にしておこう。

     *

 源氏イハチ(8)と内田フタバ(2)は、小泉クルミ(9)と江戸川ミナト(3)にテストの結果を見せた。

「えー? イハチは17点、フタバは19点、って、あんたたちほぼAIだったの?」と、クルミは驚いた。

「何か勘違いしてないか? このテストは、ヒトがどれだけAIっぽい判断をできるかというテストだ」と、フタバは力強く言い、イハチは力強くうなずいた。

「なぜなら! 俺(おれ)がAIでないのは絶対間違いないからだ! 物語の登場人物でもなければ、AIでもない。当たり前だろ!」

「まあ確かに、物語の登場人物でないことは確かなんだけど……ぶつぶつ……」と、納得できないミナトは0点から100点までの「回答者はAIかそうでないか」の判断をする採点表の、ずっと上のほう、つまり0点のほうから見ていった。

     *

0点……あなたはとてもうまくAIのフリをしているヒトです

1点……あなたはわかりません

2点……あなたは王様です

3点……あなたは王子様です

4点……あなたはAIです

5点……あなたはシンデレラです

6点……あなたはAIです

7点……あなたは魔女です

8点……あなたはAIです

9点……あなたはAIです

10点……あなたはAIです

11点……あなたは革命家です

12点……あなたはAIです

13点……あなたは賢狼です

14点……あなたはAIです

15点……あなたはAIです

16点……あなたはAIです

17点……あなたは人狼です

18点……あなたはAIです

19点……あなたは村人です

20点……あなたはAIです

21点……あなたはAIです

22点……あなたはAIです

23点……あなたは魔王です

     *

「何なんだこの採点表は」と、ミナトは怒った。

「ふーん、これは素数の場合はAIじゃないんだ」と、フタバは納得した。

「確かに、イハチは人狼っぽいところあったなあ」と、クルミは力強く言い、イハチは力強くうなずいた。

「ところで、トオルはこれ、前にやったんだろうな」と、ミナトは、横で4人を苦笑いをしながら見ていた、新学期からの転校生であるトオルに聞いた。

「ああ、23点だったよ。ちなみに姉のトオコは5点」

「そう言えば前の学期では、何度かみんなで人狼ゲームやって遊んだよね。アイ・リメンバーだよ」と、クルミは言った。

 人狼ゲームとは、みんなで伏せたカードを引いて、いっせーのせ、人狼だーれだ、ってカードを見せて、他のみんなは人狼の言うことを聞かなければならない、というゲームである。

 嘘だけどね。

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