本
ぺんなす
第1話 世界
俺の生まれた世界はとある本の世界だ。
この本には何かしらの物語がある
だがこの世界には主人公がいない。
俺は目を覚ました時、神社にいた。
俺の目の前には、一冊の本があって俺はその本を手に取った。
その本には
『お前は案内役だ』と書いてあった。
案内役。俺はその言葉の意味を理解するとかそういうのはなく、気がついたら世界の中心地にいた。
そして次の瞬間、空から光が降り注いだ。
その後、人が現れた。
俺はその人に説明をしていた。
俺はその日から毎日、案内をしている。
毎日、世界の中心地に空から光が降り注ぐ。
それは新キャラがこの世界に来た、という信号。
新キャラといっても俺が今まで案内してきたのは全員モブキャラだった。
そう。主人公がいなかった。
主人公がいない限りこの世界に終わりは来ない。
物語が終わらない。
そして今日もまた新キャラという名のモブキャラが世界に来るのである。
「ここはどこだ」
「ここは本の世界です」
「あなたは?」
「この世界に来る人たちの案内役です」
いつもと同じ説明。
「あなたのこの世界での役割はあの神社へ行けばわかります」
「わかりました」
もうこの会話には飽きた。
その人が神社へ行くと、一冊の本が置いてある。
その本を開くと、この世界での役割が書いてある。
もしかしたらこの人が主人公かもしれない。
その人が本を開くと書かれていた文字は
『その辺の人』
はぁまたモブか。いつもこうだ。
いつになったら主人公が来るのだろうか。
それとも、俺が知らないだけで主人公はもういるのだろうか。
俺は毎日そんなことを考えながら、世界の見回りをしている。
何か変わったことがないか、と。
だが特に変わったことは何も無い。
だが最近になって世界が広がり始めている。
空が広がったのだ。
今までは白い空間が多かったのだが、最近は建物が増えたり、白かった空間に色が付き始めた。
そんなある日のことだった。
朝、目が覚めると俺の部屋に一冊の本があった。俺はその本を手に取った。
「なんだこの本は」
俺はそう言って、本を開いた。
本には
『世界から飛び出せ』
そう書いてあった。
世界から飛び出せ?
どういう事だ。
俺にはその言葉の意味がわからなかった。
俺はその本を捨てた。
本 ぺんなす @feka
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