エピローグ 私の思い

……あぁやっと死ねるんだ。私は、上を見上げ漠然と思う。体は動かせず、頭からの出血も酷い。これで即死じゃないのが、不思議なくらいだ。神様が、私にくれた懺悔の時間なのかもしれない。そう考えるとぴったりはまる。だったら無駄にはしない。少しでも死ぬ前の後悔を減らそう。まずは、パパのことから。パパは、絶対に大丈夫。パパには、寄り添ってくれる人がいるから。パパが、最近夜遅くに家に帰ってくるのは、恋人に会っているから。

…何故私が、このことを知っているかというとある日、パパが、日常会話のように

「俺、これから恋人に時々会いに行くから夜遅くなったり、家に帰れなくなったりするからな。」

と言ってきたから。だから、パパは、大丈夫!後悔終了!次は、クラスメイトだけどこっちも問題なし。私が、死んでもすぐに忘れることでしょう。霧也のお父さんをすぐに忘れた皆みたいに。さぁ後は、霧也だけだ。霧也は、とても強い人。お父さんが死んだのにそれにめげず、この世界に立ち向かおうとした。その強さは、私には、ないもの。私は、霧也がストーカーを撃退したあの時から霧也と一緒に生きていたいと望むようになった。だけど、私は、自分の今までの自分の人生の支えがなくなるのがどうしようもないほどに怖くて、臆病者の私は、今日死ぬことを選んだ…。最後に霧也に嘘をついたのが、霧也に対する私の後悔…。

…ねぇ、神様。最後まで素直に自分の気持ちも言えない臆病者の願いを聞いてくれますか?私が、本当に言いたかった言葉を霧也に届けて下さい。霧也に重荷を背負わせたのに身勝手ですけどお願いです…。私は、朦朧としてきた意識の中その言葉を口に出す。私が、あの時本当は言いたかった言葉。

「私も霧也のことが大好きです。」

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