第6話 一日目 深夜
森の死体は一部男子で彼の部屋まで送ることになった。
「ちッ、なんで俺が……」
「仕方ないですよ。体格いいんですから」
多賀のイライラを清原が押さえようとしている。皆が森の周りを囲うように並びながらひたすら廊下を歩く。まるでベートーベンの葬式みたいだ。彼は何百人以上もの人が参列したって聞いたけども……それよりかは人数は少ないけど。しばらく歩くと一人の女性がいた。かなり優しそうな顔立ちだ。
「私は森様の担当をさせてもらっているGというものです。わざわざ森さまの御遺体をお持ちいただきありがとうございました。あとは我々で埋葬させていただきますので今後以降処刑で発生した御遺体は放置してもらって構いません。それではもうじき夜が来ます。就寝する準備をお願いします。おやすみなさいませ。」
Gさんが深々と頭を下げる。そして私たちはそのまま一旦解散となり各々がしたいことをした。風呂にはいったし、あまり口には入らなかったが食事も一応とった。また集まった時に坂本が言った。
「寝る前に一つだけ。私がそれぞれの占い師に二人ずつ指名するからその二人の中以外で占わないでね」
ようはここには妖狐とサイコがいる。もしかしたら占いが情報になるかもしれない。だから指名するということなのだろう……
「じゃあ日比野さんは武口君と九十九さん。鈴岡君は清原君と土川さん。阿後内君は多賀君と村山さんで」
自称占い師達はうなずくとそれぞれの部屋へと続く廊下へと向かった。
私は自分の部屋にあったベッドで横になりながら思った。これは本当に命をかけたゲーム。実際に死者が出てるんだ。一歩間違えたら明日私が死ぬのかもしれない……いや、今日もしかしたら狼が来るのかもしれない……そしていつのまにか私のまぶたは落ちてしまっていた。
就寝時間もとっくにすぎたころプレイルームには二人の人影があった。狼のように前に出ている口。口から見える鋭い牙と爪。彼らの容姿は人狼そのものだった。
「さて、人狼になったわけなんだけども、どこを襲うか迷うな……」
「占い師行けばいいんじゃないの?結局私たちにとって危険はそこでしょ?」
「そうでもない。占いは狐を殺ってもらわないと俺らにそいつをつるのは厳しそうだし占い師は3人も出てる。1/3の確率をかけにいくには早すぎる。ここはその他がいいかもな」
「でも私達の敵は2/3よ?結局いつかは手をつけないといけないわけだし」
「わかってる」
人狼達はギリギリまで話し合い、襲撃する位置を決めた。二人、いや、二匹の足音が暗闇の廊下へと向かっていく。
人狼ゲーム~狂魁の鎮魂歌(レクイエム)~ リラ・ルージュ・モナ @rivora_0714
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