第5話 一日目 夜
「まずは初日に関しては占いには手をださないわ。2/3で他陣営をつぶせるけれども情報がなくなっちゃう。今日は誰からも占われてない人、つまりグレーを指定するわ」
坂本の的確な指示で話を進めていく。このゲームにきっとなれているんだろう。
「でもグレーからいくっていっても情報はあまりないよね?」
坂本が言った。
「うん。とりあえず投票まではまだ時間がある。今は解散って形で問題ないよ。あとで個々で色々と聞きたいからそれには答えてほしいかな。じゃあまたあとであおう。」
「……っつってもいく場所は限られてるがな」
坂本が金木の方を睨むが彼は嘲笑しただけだった。彼の声の小ささにはなれてきた。
まず美沙が姉の理沙のもとに動いた。そのあと色んな人がその場を離れ始めた。部屋に戻る人も多々いた。私はそのまま座り続けていた。
「……どう?」
清原が話しかけてきた。現状一番親しみがある人がきた。
「どうって?」
「え、いや。誰が人狼なのか検討ついてるのかな?と……あんまり動いてないとやけに落ち着きがあるとかおもわれちゃうんじゃないかな?」
「どうだろ……今はわけのわからないことばっかりでボーっとしてたんだと思う。緊張感ないよね私」
嘲笑した私に清原はつづいた。
「それは仕方のないことさ。でもずっとそのままだったら危ないと思う。落ち着きがなければないほど村に見られる、けど人狼はそんな人を噛むと思う。人が死ぬとかそういうルールはないけどこういうのはやったことあるから……」
意外だった。他にも経験者がいるっていうのは怖いことではあるが同じ陣営だと心強い。まぁ、彼と同じ陣営かなんてわからないんだけども。
「そうなんだ、私は対面式の人狼ゲームはやったことないから……ありがとう。教えてくれて」
「え?あ、いやほら。おんなじ陣営なら一緒に生きてたいし、人狼にも見てなかったからさ」
「なるほどね、でもこれ以上一緒にいると疑われるかも」
「それもそうだな、とりあえず他のやつのところにいくよ」
そういって彼は金木の方まで向かった。彼は彼なりの戦法で人狼が誰かを見抜こうとしてる……私も何かしないと……
「九十九さん、ちょっといい?」
坂本に呼ばれた。おそらくさっきいってた個人に聞くやつのことだろう。
「あ、うん。どうしました?」
彼女は私の耳に手をあて小声でいった。
「今の段階で誰があやしいとかあるかな?」
この言葉で察した。おそらくこれは事前投票だ。ここでの票が多かった人が……私が怪しいと思った人……
「今は金木君がわからない。雰囲気もあるんだろうけどもなんか落ち着きがありそうだったから」
彼女はうなずくと「ありがとう、ごめんね」と言い去っていった。
しばらくして夜になった。投票前1時間にはすでに集まっていた。
「とりあえず今日はこの二人のうちどっちか吊ろうと思ってる。金木君と森君」
この瞬間大きな物音がした。森だった。
「ちょッ!なんで俺!?おかしくね?俺はちげぇって!」
彼は金木を指差してさらに続ける。
「俺なんかよりもこいつの方がよっぽど怪しいだろ!こいつが人狼だろ!」
動揺する森にたいして坂本が冷酷に言う。
「これは私が決めたことじゃない。けど皆の意見を元に指定したから」
「そんなのあんまりすぎんだろ!」
「まぁ、待てよ」
森にたいして金木がいう。
「俺はお前にいれた。お前ゲームが始まる前まではバカみたいにはしゃいでたのにゲーム始まったらお前はやけに静かだった。そっちの方が人狼っぽくないか?いや、妖狐もありうるな。少なくとも目立ちたくない役職を持ってるように見えるな」
金木の鋭い指摘に一同は黙りこんだ。確かに始まる前までのチャラさはどっかにいっていた。
「そ、それは……ほら、訳がわかんなかったっていうか……そう!訳がわかんなかったんだ!」
「何を動揺してるんだ?」
「そ、そりゃ!疑われてたらそうなるだろッ!?」
金木と森が言い争っている中で武口が坂本に言った。
「そろそろ指定しないといけない……どうするんだ?」
「……」
彼女はしばらく考えたあとこういった。
「今日は……森くんに入れて」
「ちょッ!」
本人はかなり動揺している。それもそうだ。目の前で死んでくれと言っているんだから。
「なんで俺なの!?俺が人狼なわけがないだろッ!?」
「なら回避ある?暗殺者、逃亡者、猫又とかなら出てもいい。狩人市民なら黙ってて吊られて」
「そんな……」
そして投票の時間になった。投票の方式はあやしいと思う人を指差すことだった。今日の場合は森くんになる。
~一日目 投票結果~
森→金木
森以外→森
森13票
金木1票
投票結果 森処刑
「俺じゃねぇよ……」
森が涙を流しながら言う。これで森くんが処刑されるのだ……。すると部屋の奥から一人の男が現れ何かを机の上に置いた……拳銃だった。
「いやだ……ぃやだぁぁ!」
森がついに叫びだした。逃げようとしたのか席を立とうとした。すると彼は急に体を伸ばすと顔から地面に倒れこんだ。鈍い音がひびく。「きゃぁああ」と誰かの悲鳴が聞こえた。森は自身の心臓あたりをおさえて暴れまくっている。
「な、なんだよ!おい!」
多賀が立ち上がり森の近くに行こうとする。
「現在森選手は処刑される身での禁止行為にいたったので心臓にダメージを与えていますが殺しはいたしません。実際にあなたがたでこの銃を用いて処刑してください。早くしてあげないと彼は余計に苦しくなるだけですので」
男が森を見ながら言った。かなり声が落ちついている。すでに何度も見てきてのかと思うほどだ。……いや、実際そうなのかもしれない。
「わかったわよ」
坂本が拳銃を手に持つと森に標準を合わせた。
「誰か……森くんをおさえてあげて……無駄に撃ちたくはないの……」
男子何人かで森くんを押さえつける。なおも暴れていた。
「ごめんね、村の為よ」
ズキューーンッ!
……拳銃の音がなり銃弾は森の胴体を貫き森は動かなくなった。
誰もがその場で固まっていた。
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