2

1年後。

屋敷の異世界召喚者とかいう輩の建設したヒノキ造りのいい香りの道場内でオヤジと組み手をしている。

未だ過去の記憶はおぼろげながら、オレはオヤジの養子になり仕事の雑用をしていた。

左手を右腕のシノビ刻印に触れる。右腕をオヤジに向け唱える。

「精神強化 レベルⅠ」

オレは右手の忍術で自分を洗脳し、筋力を底上げする。右腕の刻印から、黒色の刻印が身体に向けて走り出す。右頬に刻印の一端が走ったところで強化は切り上げ、筋力の上がった両足で低空ジャンプする。

「へー」

無関心にオヤジはオレを見て声を漏らした。

懐に入ったところで親父の頬めがけて右腕の拳を大振りする。裏拳だ。

しかし、親父は身体をしゃがんで避ける。オヤジは、捉えるべき敵がいないのに振り回し続けている俺の拳を見ながら

「うおー、息子の拳が俺を通り過ぎよるばい!」

とバカにした。

そして、すかさずバックステップをする。ブチギレて裏拳から肘打ちにシフトした俺の肘は回避され、オレはバックステップしたオヤジに肘を引っ張られバランスを崩し、前のめりに倒れそうになる。

オヤジのヤクザキックがオレの土手っ腹にクリーンヒットし、道場の壁にめり込んだ。

オヤジは追撃に、道着の内胸に仕込んでいたフルーツナイフを容赦なくオレに11本投げつけてる。

オレは、右腕にシノビ刻印を腕に引っ込め、こわれた壁の破片に刻印を注ぎ込む。手のひらサイズのヒノキのかけらは、刻印で30センチ角に変化し、飛んでくるナイフを全て受け止める。

「危なかった」

板の後ろでため息をつき安堵していると、オヤジは視界から消えていた。

視界が構えていた板で一部見えていなかったのだ。この死角にオヤジはいた。

その隙を親父は逃がさず、スライディングでオレに接近し、オレの板を上空に蹴り飛ばした。

「オレの板ー!!!!」

我ながら上に富んでいる板を見ながらマヌケなセリフを出してしまった。オヤジはオレの右腕を重心を利用して引っ張り、一本背負いを決める。

が、親父の襟首を握る右手と、腹筋を強化させ、地面に背中をつくすんでのところで耐え、手を放し、つかまれている袖を払いのけ状態を起こす。

「30点だな。」

親父は、右腕を天高く掲げ虚空から黒い斧を呼び出す。

柄の長さは1メートルあり、刃の形は長方形で縦20センチ、横50センチ幅5ミリ、

真夜中の空みたいに真っ暗な色をしている。

そのまま黒甲冑の召喚詠唱に移行している。

変身中のヒーロや魔法少女を攻撃しては、いけない。これはこの世のルールだろう。しかし、オレはあえてそれを破る。

「ぶっ飛べ親父!」

拳にガツンとした感触が伝わる。詠唱中の棒立ちオヤジを容赦なくぶっ叩いた。裏拳だ。数えること198戦。ついにやってやったと誇らしげの気持ちになる。

しかし殴ったのは、変わり身で作った木の人形をだった。

木の粉砕する音が道場内をこだまする。

「俺はお前に198回は言ってるぞ。忍者の息子が背後を取られんな」

オヤジは、マジックスキルの転移を使ってオレの背後を取っていた。

よく見ると、背後に入った瞬間に、懐から取り出した桃を先ほどのフルーツナイフで皮をむいている。オレを見ていない。桃を見ている

「こけにしている!くそったれ!」

オレは、後ろ回し蹴りをすべく、左足に重心を移動させたところだった。

「精神強化 Ⅰ」

親父は今まで通り、忍術で両手人差し指を筋力を底上げした。そしてニヤけた面して手をカンチョ―の構えをとる。

「一子相伝」

この世のものとは思えないスピードで、レビィの尻の穴に両手の人差し指を容赦なく突き刺す。

ずぶり。

「狂い悶えろ!!千年万年!億年殺し!!!!!!」

「う゛っ」

野太い声が漏れる。あそこの穴から硬いモノが容赦なくめり込む。

「アッーーーーーーーーーーーーーーー!、、」

レヴィの脳内に稲妻の衝撃が走る。膝の力が抜け腹が痛み出す。

「いづか…ぶっご…ろす!!」

尻を手で押さえて泣きながら睨んでくる息子に対して、オヤジは、キャッキャッと笑う。そして、クールに片目を閉じてレヴィの尻穴を射止めた両人差し指にふっと息を吹いた。

「30分後に龍神JACKのギルド長んとこへ商談しに行く。用意しとけよ」

いつものギルド長のオヤジにDランクの燃料棒魔石を売りつけ酒を飲み雑談するだけだ。

商談なんて大げさなものではない。

ラヴィは、尻を抑えるのをやめ起き上がり、道場の外に出てた。土蔵の屋根の上で、這いつくばりながら血を吐く男がいた。

「ギルド長!」

オレは走って土蔵の下に走ったが、既に事切れていた。

「なんで家でギルド長が死んでんだ…」

先に道場を出たオヤジを探したが、どこにも見当たらなかった。

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ここは俺に任せて先に行け 佐世保 悟 @teritama0912

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