目覚め
目覚ましと共に眠い目を擦りながら携帯を操作し頭に響く音を消してあくびをする。
妙に体が軽くそして何故だかいつにも増して部屋からは甘ったるい匂いがする。確か大学一年の頃に付き合った子の中で同じような匂いを嗅いだような事があった気がする、その時は確かこの匂いを好きと認識させていたが今よくよく嗅いでみればとてつもなく自分としては異臭とまではいかないが鼻がツンとしてしまう。
ぼんやりとした視界がはっきりと物を捉える頃には俺はその異変に嫌でも気づいてしまった。
ピンクで統一されモコモコした人形やらが部屋に置かれている。クローゼットの前には大きな姿見が置かれておりベッドから起き上がり自分の姿を確認した瞬間に俺は膝が力なくして倒れてしまう。
目の前には女が尻もちついて座っている。肩の下まで伸びた茶髪がかった長い髪に眠たそうな目。それにピンクのパジャマ。胸はそこそこある……。
まじまじと自分を眺めるがやはり目の前には女が座っている。
そういや俺は慣れた手つきで携帯を触っていたが妙に懐かしさを感じたのを思い出し枕の横に置かれた携帯を手に取る。
二つ折りで上面にはディスプレイ、下面には番号などが書かれたパネルがついていた。今でこそガラケーと呼ばれた代物が現役で使われている、物好きな奴だと一瞬考えたがディスプレイには2008年6月06日と表示されている。つまり先輩が事故に遭う一年も前になる。2010年6月06日この日に先輩が……。いや俺には時間が幸いにもある、この年に俺は高一今こうして自分とは別の姿になっているのにはきっと意味があるんだ。
瞬時に俺は理解する、この姿で俺は先輩を助ける。自分の命を捨ててでも俺は絶対に過去を変えてやるんだ。
人生二度目の恋をする てすてすろとろ @pitopito11
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